発病の経過と症状
ご相談いただいた症状は下記のものです。
パニック
突然の激しい動悸
息苦しい
強い不安感
・狭い場所、渋滞など苦手な状況で出てくる
発症は10年くらい前
流産と子宮筋腫の手術があり、精神的にも肉体的にも疲れていた。
病院からはリーゼとソラナックスを頓服で処方されている。
パニックが出たら服用しろと言われているが、飲んでも効かない。
そもそもパニックが出ないようになりたい。発作が出ること自体が強いストレスになる。
特徴
ご相談いただいた症状以外の特徴は
1.焦燥感、不安感、驚きやすい、音が気になる、恐怖感が強い、夢が多い、眠りが浅い、途中覚醒、早朝覚醒など 脳の過敏状態は当然強い。
2.イライラ、怒りが強い、ヒステリックになる、緊張感が高い、のぼせ、手足のほてり、発赤しやすい、顔が赤くなりやすいなど 体と脳の興奮状態も強い。
3.全身の冷え、寒がり、手足の震え、肩首のこり、頭痛、目の疲れ、日中眠い、忘れっぽい、体がだるい、疲れやすい、めまい、体が重い、頭重感など 頭部(脳)を含めて全身で強い血流の低下が起こっている。
4.食事量が入らない、お腹が空かない、食べても美味しくないなど 胃腸は乱れている。便通は1日1回、普通便と安定している。
パニック障害の基本となる脳の過敏症状はしっかりと出ています。また、脳の過敏状態の原因となるような脳血流の低下も確認出来ました。
(頭痛、頭重、目の疲れ、日中眠い、忘れっぽい、めまいなど)
したがって、脳を中心とした全身での血流を低下させている原因を突き止めて治療していくことになります。
胃腸も乱れた状態でしたので、このあたりにも配慮していきます。
治療経過
あまり多くを語らない方でしたので、経過のご報告も少な目でした。
服用から1ヶ月目
少し食欲が出てきたかなという程度。目に見える変化は今のところない。
服用から2ヶ月目
悪くはない。少し良いような気がする程度。
服用から3ヶ月目
調子が良いとまではいかないが、まずまず。食べれる量が増えてきた。
服用から4ヶ月目
まずまず。
服用から5ヶ月目
発作自体が減ってきている。
また、発作が出ても症状が小さく、鎮まるまでが短くなった。
頓服薬が効くようになったようにも思う。
服用から6ヶ月目
この1ヶ月は大きな変化はなかった。
服用から7月目
発作は出なくなった。それに伴い、頓服薬も飲んでいない。
服用から8~10ヶ月目
その後も発作が出ることはなく、体調も良好な状態が続いた。
良い状態で数ヶ月服用いただきましたので、体質はまずまず改善されたと判断しています。ここで廃薬となりました。
発症の原因についてもご説明しており、ご理解いただけています。生活の中で原因となり得る部分に気を使っていくだけでも、再発の可能性も少ないことでしょう。
考察
パニック障害としては珍しくない症例でした。
発作時も激しい動悸と不安感、息苦しさと一般的な症状でした。
呼吸するための筋肉への血流が低下し「息苦しさ」が出てきます。
脳血流が低下し、脳が過敏状態になるために「不安感」が出てきます。
こうした血流の悪さを解消しようと心臓が一気に拍動を強めるので「動悸」が出ているという状態です。
発症のきっかけは、10年位前の流産と子宮筋腫の手術でした。精神的な負荷は強かったでしょうし、手術による体への負担も強かったことでしょう。
ただし、こうした負荷が10年間も持続的にかかり続けるということはまずありません。
発症のきっかけ、引き金になっていたとは思いますが、10年続く不調の原因という訳ではないと判断しています。
原因部分は身体機能の乱れにあると考え、この治療を行っていくことで問題なく改善していきました。
病院からの治療はリーゼとソラナックスという抗不安薬によるものでした。
頓服で出された処方ですから、治療薬ではなく発作が出た時に症状を軽くしてあげましょうという意図です。
こうした治療では発作を止められる訳ではありませんし、発作を抑制していく効果もありません。
この治療を続けていく限り、パニック発作はずっと出てきますし、発作が出る度に薬を飲んで発作が治まるのを待つことになります。
また、抗不安薬(安定剤)は基本的に効果が強くありませんので、強い発作時に服用しても効果が得られることはありません。
効果が出るのに時間がかかることも多く、15~30分くらいは発作に耐え続ける必要が出てきます。
この方は、当店での漢方治療を続け、半年弱で安定剤の効果が出てくる程度の症状にまで改善していきました。
(最終的には服用する必要のない状態にまで改善していきます。)
抗不安薬も抗うつ薬も、原因を治療していく薬ではないと理解しておきましょう。
発作や症状を薬で抑えておく間に、自身の回復力で原因となる部分が治るのを待っているだけなのです。
原因が治らない限り、薬を服用し続けることになります。この間に薬に対する耐性が出来てしまうと、服用量を増やすことになったり、薬の種類を増やしていくことになります。
改善していく様子もないのに漫然と薬を服用し続けることにはならないように注意しましょう。
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