経験例65 不登校、起きられない、涙が出る、視界が狭くなる 10代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

不登校
朝起きられない(学校に行きたいが動けない)
意味もなく涙が出る
急に視界が狭くなる(目の前が暗くなる)
音が響いて聞こえる
立ちくらみ
気分が悪くなり失神
気温を感じない
顔色が悪い
頭痛
肩凝り
味を感じない
過呼吸
耳鳴り
アトピー性皮膚炎

・起床時の体調が最も悪い
・よく眠れなかった時の体調も悪い
・緊張する人と会うと悪化

発症は11ヶ月前。中学3年の時。

中学1年生の頃から急に目の前が暗くなること(ブラックアウト)があった。耳鳴りも増えていた。

2年生になると学校行事の時に気が遠くなったり、失神そうになることが増えた。この頃からめまいも出てくる。

11ヶ月前に学校の先生とのトラブルから、音が響く、人が多いところが怖い、イライラが強くヒステリックになる。

病院からはエビリファイ(抗精神薬/DSS)、アキネトンが処方された。効果は感じていない。

市販のものでは、疲労回復用の薬を服用。これも効果があるのか分からない。

小さい頃から氷を食べるのが好きだった。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.寒がり、手足が冷える、疲れやすい、頭痛、立ちくらみ、起立性調節障害、ふらつき、足が重い、肩こりなど 全身での血流低下がみられる

2.イライラ、寝付きが悪いなど 脳の興奮症状は出ているが強いものではない。
発赤が起こる、冷たい飲み物を好む、顔が赤くなりやすい、皮膚の痒みなど 体の興奮状態は強い。

3.不安感、多夢、音が気になるなど 脳の過敏状態は出ているがこれも強いものではない

胃腸の状態は安定している。特に問題はなかった。

起きられない(覚醒出来ない)、視界が狭くなる、目の前が暗くなる、立ちくらみ、湿疹、顔色が悪い、頭痛、耳鳴り、音が響く」と頭部(脳)での血流の低下が顕著でした。
また、「動けない、気温を感じない、肩こり、過呼吸」などを含めるとご相談いただいた症状のほとんどが血流低下症状であることも分かります。

不登校でご相談ある方の大半は、このように血流の低下による不調を訴えられています。
そして血流を低下させている原因もほとんどが同じものです。
この方の血流低下の原因も分析の結果同じものと判断しました。問題なく治療していけると考え、治療していきます。

「アトピー性皮膚炎」など体の興奮状態は強いものでしたので、このあたりにも配慮した治療を行いました。


治療経過

お母様からのご連絡(報告)となります。お母様から見た客観的な変化と本人からの意見が混在しています。

服用から2週間

服用から1週間ほどで朝起きられるように。まだ登校は出来ていないが期待している。

まだまだ不安定な状態であることに変わりはない。

服用から1ヶ月

体調は上向いている。朝起きられないということがほとんどなくなった。

保健室登校、遅刻・早退などを含めて、何度か登校できた。

顔色が悪い日が減っている。

まだまだ波があり、頭がモヤモヤしたり、イライラがあったり、不安感はあるようだが本人は以前と違うような感覚があると言っている。

服用から2ヶ月

体調がだいぶ安定してきた。この1週間は休まずに登校出来たほど。

まだ朝起きられないこともたまにあるが、調子は良いように思う。

たまに不安感が出てきても治まるのが早くなった気がする。

服用から3ヶ月

夏休みに入ったが部活がある。早朝からの日もあったが問題なく行けた。

久しぶりの課外授業では教室で気分が悪くなったようだが、午後からは回復したようだ。
帰宅時は元気いっぱいで話を聞かなければ不調があったようには見えないほど。

まだ緊張する場面では心配になるが治ってきていると実感している。

服用から4ヶ月

始業式は緊張が強かったためか登校出来ず。翌日から登校。

文化祭前(部活にて参加)は体調をまた崩したが、文化祭後からは安定している。

朝からお腹が空くようになり、食欲も旺盛。

日中の眠気もなくなり、笑顔で楽しそうに話すことが増えた。明るい表情が嬉しい。

服用から5ヶ月

ここ1ヶ月は2~3日登校出来ない日があったが、それ以外は元気に登校。登校出来なかった日の原因は分からない。

突然起きられなくなるので、まだ不安は残る。

服用から8ヶ月(2ヶ月中止)

調子の良い日が続いていたので、中止していた。

朝は起きられるが、急に不安に襲われるように。首や肩の重み、過呼吸、涙が止まらなくなる。

立ちくらみ、手足の冷え、寒気も強い。

学校を休むことは減ったが、体調は悪いよう。特に生理前は不調が多い。

もう一度、服用したい。

服用から9ヶ月

調子が良い日がまた出てきた。ただし、まだたまに不調が出てくるので安心は出来ない。

ここで1ヶ月分の漢方薬をお送りして以降、ご連絡はなくなりました。

完全に良い状態を見届けるまで治療を続けたかったのですが、ここまででも十分に満足いただける治療成果になっていたのかと思います。


考察

当店へのご相談も多い不登校のお子様でした。

不登校の中でも、学校へは行きたいのに体調が悪いために行けないという体調不良による不登校です。
体調さえ良くしてあげれば学校へ行けるようになります。

不登校のタイプは大きく3つに分かれます。

・朝から不調で起きられない(夕方から元気なことも)
・学校に行こうとすると不調が出る
・学校に着いた後に不調が出る(特定の場所や状況での不調が多い)

などです。

この方は、相談の中で最も多い、朝起きられないというタイプの不調・不登校でした。

相談が最も多いということで、治療法もほぼ確立されています。
原因はほぼ同様であることが多く、年齢も若く回復力が高いだけあって改善は早いと感じています。


この方の病態は、漢方医学的に見ると完全な身体機能の乱れによる身体の不調と判断しました。

しかし、病院からの処方・治療を見る限り、精神疾患であると診断されたようでした。病院の検査では異常が見つからないために、

「どこにも悪いところはないのに、不調を訴えている」と診断されたのでしょう。

処方されたエビリファイは、統合失調症・双極性障害(躁状態)、うつ病などの適応を持つ薬です。
少なくともカルテ上では、上記のような診断名が付いていたことでしょう。

不登校のお子さんには、このような精神安定剤や抗うつ剤などが処方されることは多いです。
効果を上げてすぐに登校出来るようになったとお聞きする機会は少ないようには思います。

また、効果はないが薬の副作用でさらに体調が悪くなっている方も多くお見かけします。


漢方治療は大方の予想通り順調に進みました。

この病態では、1ヶ月以内に登校が一部再開出来るようになることは多いと感じています。

順調に改善は進みますが、どうしても毎日のように登校出来るようになると問題は解決したと考えてしまわれることが多くなります。

少しの不調は感じながらも登校する、調子は良くが病気の根の部分は残っている状態では、再発の可能性は高くなります。

この方は、ある程度のところで治療を中断されてしまいました。その後のご連絡はありませんので、少なくとも漢方治療が必要になるほどの不調は出てきていないのかと思います。

出来れば調子の良い状態で数ヶ月ほどは服用を続けていただきたかったとは考えています。

あなたのお子様は病院を受診されて「不登校は精神的なもの」と診断されていませんか?

朝起きられない状態は、多くの場合、精神疾患ではなく身体的疾患です。治療は容易である場合が多いと感じています。

体調不良による不登校のお子さまのことでお悩みの方 ぜひご相談下さい。

不登校の治療は得意としています。お役に立てると考えています。


ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。

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