経験例69 1人で外出出来ない、家から遠くなると不安 30代 男性 【 パニック障害の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

1人で外出出来ない
家から遠くなると怖くなる
逃げられない場所が怖い
家で1人の夜を過ごすのが怖い
バスに乗れない
予期不安
めまい
眼精疲労
体力がない

・長いレジ待ち、混雑した店、人混みなどが怖い
・誰かと一緒でも外出には強い緊張と恐怖、不安
・一人で長時間の留守番が出来ない
・体調が悪い時には1人になれない

発症は20年前。10代半ばの頃。

通学の電車内で初めてパニック発作。その後しばらくは発作なし。
10代後半から、バイト中にパニック発作が出るようになる。(パニック障害と診断)

20代はストレスの強い仕事をしていた。この頃、飲酒後に動悸・焦燥感・手足の痺れ・胸部の痺れで救急搬送される。
その後も過呼吸が出るなどして病院へ運ばれた。再度パニック障害と診断。

病院での診断は、パニック障害不安神経症うつ病広場恐怖症

病院からはレキソタン(抗不安薬:頓服)とデジレル(抗うつ薬)を処方されている。服用しているが改善する様子はない。

コーヒー、ノンアルコールビール、缶ジュースなどを好んで飲む。お菓子も好きで飲食の乱れは激しい。

現在は、在宅の仕事をしている。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.微熱感、ほてり、のぼせ、イライラ、怒りが強い、ヒステリックになる、顔が脂っぽい、気温が高いと不調、緊張感が高い、抑うつ感、憂うつ感、ため息が多いなど 心身の興奮状態は強い

2.頭痛、頭がボーっとする、疲れやすい、体がだるい、手足の冷え、息苦しい、目が疲れる、体が重い、足が重い、動悸、肩こり、首こり、背中のこりなど 全身の血流が強く低下している

3.焦燥感、パニック、不安感、恐怖感、驚きやすい、夢が多いなど 脳の過敏状態も強く出ている

4.お腹は空いたり・空かなかったり、口臭、喉の刺激感、胸部が重苦しい、上腹部の痞え、胃が張る、腹が張る、喉が詰まるなど 胃腸は乱れている

心身の興奮状態が目立ちます。微熱感、ほてり、のぼせのような体の興奮症状、イライラ、多怒、ヒステリック、緊張感、寝付きが悪いなど脳の興奮症状も強いです。

脳での血流が低下しているため「めまい、眼精疲労」が出ています。
また、脳血流の低下で脳が過敏状態に陥っているため「強い恐怖感と不安感」が出ています。「1人で外出出来ない、家から遠くなると恐怖、逃げられない場所が怖い、家でも1人の夜を過ごせない、予期不安」なども脳の過敏状態からくる症状です。

したがって、心身の興奮状態を鎮めていきながら、脳血流を低下させている原因を治療していきます。

飲食にも乱れがありましたので、飲食の節制をお願いしました。


治療経過

服用から1ヶ月

1人でいる時の不安感・恐怖感・焦燥感などの精神症状が少し軽減。
体調不良時の不安感・恐怖感も少し軽減。

1人で外出時の恐怖感など、その他の症状には変化なし。

服用から2ヶ月

1人でいる時の精神症状はかなり軽減。家の中ではだいぶ普通に過ごせるようになった。

1人で外出時の不安感が少し軽減。
とは言え、近くの自動販売機に体が軽く、緊張なしで行けたという程度。

家族との外出(近場)では、全く恐怖感はなかった。お店にも長居することが出来た。
家族と2人でだが、美容室にも恐怖感なしで行けた。

確実に改善してきている。

服用から3ヶ月

全体的に良くなっている気がする。自宅に居る分にはほぼ問題がない。

家族との外出でも、不安感・恐怖感はほぼなくなった。

ただ、1人で外出する機会をほぼ持たないので、これが良くなっているのか確認が出来ない。

※ 4ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から5ヶ月

1人での不安感・恐怖感、遠距離への外出(家族同伴)などかなり改善。

1人での買い物にはまだ挑戦していない。緊張があって一歩を踏み出せない。

※ 6ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から7ヶ月

精神面も含めて、体調全体が良くなってきている。

1人での外出・買い物はまだ厳密には実践出来ていない。
先に外出・買い物に出かけ、5分ほど後から付いてきてもらっている。これであれば外出・買い物は出来ている。

不安感や恐怖感は出てくるのだが、以前であれば動悸や過呼吸が出ていたはずなのに出て来ない。
良い兆候なのかなと考えている。

※ 8ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から9ヶ月

子供が生まれ、育児に必死になっている。不眠状態での立会出産だったが発作などもなく安心した。以前の状態であれば、立ち合いは難しかったと思う。

外出の練習は出来ていないが、後退している様子はなく、現状維持という感覚。

※ 10~14ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から15ヶ月

状態はかなり良くなってきていると感じる。1ヶ月ほど前からすごく順調に感じている。特に飲食により意識を向け出してから良くなってきている気がする。

1人での外出はまだ出来ていないが、以前のような絶対に無理という感覚は少なく、「出来そうな気がする」と思えるようになった。

※16~17ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から18ヶ月

家族とであれば問題なく外出が出来るようになったので、心療内科に行ってみた。
診断としては「うつ病」とのこと。自分としては、パニック障害(1人での外出が出来ない)だと思っているので、これを治していきたい。

漢方薬が効いていると思うので、西洋薬での治療は断ってきた。

※19~24ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から25ヶ月

パニック発作がなく夏を過ごせたのは初めてかもしれない。

調子が良かったので、飲食が少し乱れ気味。そこが気になる。

服用から26ヶ月

この1ヶ月でさらに効果が出てきた。行動範囲がさらに広がった感じ。
2年余り続けてきて良かったと感じた。

そろそろ廃薬を考えている。

※27~30ヶ月目は経過のご報告なし。

服用から28ヶ月

今月はさらに劇的に外出が可能になった。

もう悪かった頃の記憶が曖昧になりつつある。以前はあんなに悪かったはずなのに、あまり思い出せない。

服用から29ヶ月

1人で夜を過ごす(外泊)、1人でスーパーに、1人で整体にと不安も感じずに出来ている。
かなり心に余裕が持てている状態。

症状も安定し、体調も良い状態が続きました。ここで廃薬となりました。


考察

あまり経過のご報告をいただける方ではありませんでした。
通常は1ヶ月に一度、ご注文の際に体調をお聞きするのですが、ご注文だけのメール連絡で終わることが多かったです。
治療上、好ましくはありませんが経過自体は比較的良好であったため、こちらから細かく状況をお聞きすることなく治療を続けていきました。

治療に伴い、飲食の節制もお願いしたところではありますが、服用からしばらくはあまり出来ていなかったようです。
元々食べること、飲むことが好きだったとのことで、あまり節制を受け入れたくなかったとのことでした。

治療に少し時間がかかったのは、飲食の乱れを継続しながらであったのかもしれません。
飲食を意識され初めてからは、改善のペースが早まったようにも思います。


パニック障害は、脳血流の低下による脳の過敏状態に起因します。

脳の過敏状態からくる症状は、人それぞれです。基本的には、恐怖感や不安感、焦燥感、眠りが浅いなどが多いものです。

何に恐怖や不安を感じるのか」が人によって違うと言えるのかと思います。
この方の場合は、1人になることが極度に怖かったようです。

1人になること自体が怖いというよりも、「1人の時に体調不良が出たらどうしよう?」という不安や恐怖が、過敏な状態であるために増幅されていくのでしょう。

不安や恐怖などを少しでも感じると一気にそのことばかり考え、悪い方へ悪い方へ考えてしまうのが脳の過敏状態の特徴です。

夢を見ることが増え、過敏状態が増大していくと全てが悪夢になることもあります。

この方は1人で外出が出来ない状態から、余裕を持って外出出来るまでに回復していきました。

同様の状況でお悩みの方 ぜひご相談下さい。

パニック障害を筆頭に脳の過敏な状態の治療を得意としています。お役に立てると考えています。


ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。