経験例60 乗り物恐怖、食事恐怖、食欲不振、不安、吐き気 20代 男性 【 パニック障害の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

パニック
通勤電車に乗ると不安感、動悸、吐き気
食後に電車・バスに乗れない
満腹まで食べると恐怖感
食欲不振

・乗り物では「気分が悪くなるのでは」と不安感
・食後の電車とバスが怖く、外食・飲み会を楽しめない
・特に仕事が繁忙期に症状が強くなる

発症は2年前。胃もたれした状態で電車に乗り、途中で気分が悪くなり途中下車したことがきっかけ。

発症の前日には食べ過ぎ、当日の朝から胃もたれ・膨満感があった。

病院からは柴胡加竜骨牡蛎湯が処方されたが効果はなかった。

乗り物に乗ると「不調が出てくるのではないか?」というパニック発作が起こる一種のトラウマ化された状態でした。

また、胃腸の状態と恐怖感や不安感が強く結びついていました。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.パニック、焦燥感、不安感が強い、恐怖感が強いなど 脳の過敏状態が強い。ただし、基本的には乗り物に乗る時だけ。

2.微熱感、冷たい飲み物を好む、のぼせ、顔が脂っぽい、イライラなど 体と脳の興奮状態も強い。ただし、普段の緊張感はそれほど強くはない。

3.胸焼け、嘔吐、食事量が入らない、食後の胃もたれ、食後だるい・眠い、胃が張る、お腹が張る、お腹が空かないなど 胃腸の乱れは強い。普通便ですが1日3回の排便。

4.日中眠い、目が疲れる、体が重い、朝起きが悪いなど 血流の低下はあるが激しいものではない

日常生活では、電車・バスに乗る時以外には基本的に不調が出ない方でした。

一見、乗り物に乗ること自体に緊張・不安・恐怖を覚え、不調が出ているようにも見えますが、地の緊張感が高いという訳でもなさそうです。

「乗り物に乗る=気分が悪くなる」という脳への刷り込みが強い状態と言えそうです。(トラウマ状態

胃腸の状態と不調は強く結びついています。
しっかりと胃腸を整えていく必要があると判断しました。気分が悪くならないことを優先させていきます。

また、この方は使われている健康食品が胃腸に大きな負担をかけるものでした。(#考察2
不調を治したいと使われていたようですが、かえって不調を悪化させていると考え、すぐに中止していただきました。


治療経過

服用から1ヶ月目

少しずつ改善しているように感じている。

乗車すると症状は出てくるのだが、症状が軽くなっている気がする。

服用から2ヶ月目

毎年、今の時期は不調が強いのだが今年は楽。

治療前と比べるとだいぶ良い気がする。吐き気が軽い。

服用から3ヶ月目

だいぶ良い。食欲があり、満腹まで美味しく食べられるようになった。

食後の不調がないので、食後の乗り物への恐怖はなくなった。

服用から5ヶ月目

時折、ふとした瞬間に不安感が出てくることはあるが、概ね順調に改善している。

服用から7ヶ月目

とても平穏に過ごせている。不調を感じることがない。

服用から8~11ヶ月目

7ヶ月目以降、症状が出たことがない。

5ヶ月調子が良いということで体質は改善されたと判断。

再発の可能性もないと考え、ここで廃薬となりました。


考察1

たった1度出ただけの「乗車時の気分の悪さ」が強い恐怖と不安でトラウマ化されていました。

ただ、この一度切りの不調がその後の症状を作り出した訳ではなく、発症以前から不調の下地は出来上がった状態であったとは考えています。

この方の場合、胃腸の状態が精神症状に大きく関係していました。

電車に乗ると実際に吐き気が出てしまうことから「電車に乗る=気分が悪くなる」という情報が脳に刷り込まれてしまっています。これがトラウマです。

こうした状態には、「電車に乗っても気分が悪くならない」という経験で脳を上書きしていく必要があります。

この方の治療でも順調に改善。半年ほどで不調は出てこなくなりました。


この方には柴胡加竜骨牡蛎湯が処方されていました。
処方された方は、この方の精神過敏状態を柴胡加竜骨牡蛎湯で鎮めようとされたのかと思います。

体質・病態をしっかりと把握していれば、柴胡加竜骨牡蛎湯の適応ではないことは分かります。精神過敏を鎮めれば治るような単純な病態ではありませんでした。

不安感やパニックを目安に症状別漢方として出されたのでしょう。不安感やパニックと聞けば、柴胡加竜骨牡蛎湯が適応と考えてしまっています。
柴胡加竜骨牡蛎湯を西洋医学における精神安定剤の代用品として使用されているのかと思います。

この症状にはこの処方を」という選薬方法(症状別漢方)は、当たればラッキー、効かなくて普通、下手をすると悪化するというリスクのあるものです。

漢方薬を服用する場合は、症状だけではなく、体質までしっかりと把握し、原因を治療してくれるところで処方してもらいましょう。

もちろん当店は、その方の体質・病気の原因に合わせて処方を選び差し上げています。

トラウマ化した不調への治療経験も豊富に持っています。

ぜひご相談下さい。


ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。

考察2

どういった根拠、もしくはデータがあるのかは分かりませんが、自律神経失調症やパニック障害に効くという健康食品やサプリメントが販売されています。

当店にご相談いただく方には、既にこうした健康食品・サプリメントを使用されている方は多く、それでもご相談があるということは効果が感じられていないようです。専門店として見ても、どういう理論で効果が期待出来るか不明なものが大半です。

商品名を具体的に示すことは避けますが、ある特定の健康食品・サプリメントを使用され、効果がない(もしくは悪化した)とご相談いただくことも増えています。
(この商品が良く売れているということでもあるのでしょう。)

健康食品やサプリメント等では強い不調を改善していくことは難しいと考えています。
セルフメディケーションと言われていますが、手に負えなくなってしまった場合には、しっかりと専門的な知識を持ったところに相談しましょう。

当店は自律神経失調症とパニック障害を専門とした漢方薬局です。
健康食品やサプリメントよりは割高にはなりますが、漢方治療の方が治療出来る可能性は高いと自負しています。

ご相談をお待ちしています。