発病の経過と症状
ご相談いただいた症状は下記のものです。
パニック
不安感
焦燥感
イライラ
怒り
吐き気
・常に不安感と吐き気がある
・乗り物が苦手
・人前で話す時には必ず吐き気と嘔吐
発症は12～13年前。いわゆるブラック企業に勤務していた。
ある朝、突然の強いめまいと嘔吐感。なんとか出社しようとしたが出勤途中に手足の震えが出て途中下車した。
その後はだましだましで出社を続けていた。
2年半ほど前から喉の痛みと微熱が続くように。数ヶ月この状態が続くも病院の検査では異常なし。
その後、大きなパニック発作。半年間、外出出来ない状態になった。
酷い状態から少しは回復したが、行動範囲は極端に狭くなり、仕事は再開したもののままならない状態が続いている。
病院からは睡眠導入剤、抗うつ剤(SSRI)、安定剤2種類が処方されているが、治っていく訳ではなく、なんとなく気持ちが落ち着くような気がするだけ。
さらに補中益気湯と苓桂朮甘湯も処方されたが、改善はなくむしろ悪くなっている気さえする。
特徴
ご相談いただいた症状以外の特徴は
１．不安感が強い、恐怖感が強い、音が気になる、パニック、眠りが浅い、夢が多いなど 脳の過敏状態が強い
２．微熱感、ほてり、のぼせ、発熱、イライラ、ヒステリック、顔が脂っぽいなど 体と脳の興奮状態も強い
３．吐き気、嘔吐、胸焼け、呑酸、口の乾燥、喉の刺激感、食事量が入らない、食後の胃もたれ、食後だるい・眠い、下痢～軟便、胃が張る、お腹が張る、ゲップ、胸苦しい、上腹部の痞え、食事がおいしくないなど 胃腸の乱れは激しい
４．疲れやすい、体がだるい、日中眠い、目がしょぼつく、目が疲れる、肌がかさかさする、息苦しい、寒がり、手足の冷え、頭がボーっとするなど 脳を含めた全身での血流が低下している
心身の興奮状態が強く、胃腸の強い乱れ、全身での血流低下と自律神経失調症の典型のような病態でした。
脳血流の低下が進行したことで、不安感、焦燥感、パニックといった脳過敏症状に発展したようです。
典型的な病態ということは、当店では治療法を確立しています。問題なく治療していけると考え、治療を開始しました。
なお、この方は飲食が病態に全く適合していませんでした。体調を悪化させるような飲食をしていました。
また、自律神経やパニックに良いと聞いて、とあるサプリメントを使用されていましたが、病態とは正反対のもので悪化の一因になっていると判断しました。
飲食についての指導を開始し、サプリメントはすぐに中止していただきました。
治療経過
服用から3日目
久しぶりにパニックが出た。心配している。飲食については指導の通りにしているつもり。
パニックが出たのは服用3日目、「めんけん反応(好転反応)」であると判断しました。そのまま服用を続けていただくようお願いしました。
服用から１ヶ月目
まだ大きな変化はない。なんとなく良いかなというくらい。
飲食については、言われたことを出来るだけ守るようにしている。
服用から２ヶ月目
明らかな改善を感じている訳ではないが、良くなってきている気がする。
吐き気は感じにくくなっている。
服用から３ヶ月目
不安感が少し気にならなくなっている。
焦燥感、イライラ、怒りはあまり変わらないと思う。
3か月目としてはまずまずの経過です。飲食がまだ体に負担をかけているため、改善は少し遅くなっていると判断しました。
服用から４ヶ月目
不安感は減ってきている。頓服での安定剤の服用が明らかに減った。
服用から5ヶ月目
先月と大きくは変わらないが、基本的に安定してきた気がする。
久しぶりに満員電車に乗る機会があったが、少し不安に思っただけで大きな問題はなかった。
改善してきているなと感じた瞬間だった。
服用から6ヶ月目
調子が良い。いつの間にかイライラや怒りが出てこなくなっていた。
不安感や焦燥感もほぼ感じない。
服用から7～12ヶ月目
調子の良い状態が続き、気になる不調はなくなった。
体質も十分に改善されたと判断し、配薬となりました。
その後も体調良く過ごしていただけているようです。
考察
多忙な仕事と精神的なストレスが強い方でした。
それだけでも不調の原因となりますが、加えて飲食が大きく乱れていました。
心身の興奮を促すような飲食が多く、そのために胃腸の興奮状態も強くなっていました。
こうした病態の方に何故、補中益気湯と苓桂朮甘湯が処方されたのかは分かりませんが、処方が合っておらず体調が悪化してもおかしくないものです。
使用していたサプリメントも含めて、体調を悪くするような治療行動を続けておられたということになります。
治療薬として出された薬や体調を良くするためにと使っているサプリメントが不調の原因となっていることは意外に多いものです。当店でも「すぐにその薬(サプリメント)を中止して下さい」とお願いすることも多いです。
飲食については、指導のもと改善していただきましたが、少し緩い節制だったようです。そのため、改善は期待していたよりもゆっくりとしたものでした。
3ヶ月目までにある程度の改善が出ていないと、なかなかその後の服用を続けていただけなくなります。
この方は3ヶ月ではなんとなくという程度でしたが、我慢して続けていただいたことで完全に回復した状態にまで持っていけました。
初めはゆっくりとした改善でしたが、実感出来る改善が出てからは一気に改善していったという印象です。
10数年間続いたパニックなどの不調が半年ほどでほぼ改善した例です。
長年悩まれていても治療出来る可能性は十分過ぎるほどにあります。
どうしても病院で保険の効く治療は金額は安く手を出しやすいかと思います。
また、西洋医学や医師への信頼は強く、病院にいけば全ての病気が治せると思われている方も多いでしょう。
もちろん病院の治療で改善していけば、それに越したことはありません。
ただ、病院の治療や健康食品・サプリメント、調べた(聞いた)健康法では改善してこないとすれば、漢方治療を検討してみて下さい。
漢方治療は一生続ける必要がありません。体質改善薬であるため、完治後の再発がほとんどないのです。
一時的に出費は多くなりますが、半年～１年ほどの治療でその後の体調の良い生活が手に入ると考えてみて下さい。
この先、さらに10年、20年続くかもしれない不調をいま治してみませんか？
ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。