経験例11 過呼吸症候群とパニック障害 20代 女性 【 パニック障害の治し方 】

発病の経過と症状

就職して1年半ほどから体調が悪くなった。始めは電車や車に乗ると強い乗り物酔いを感じていたが、その後、不安感や息苦しさあるいは頻脈などの症状が出始めた。また、過呼吸もしばしば出てくるようになってきた。
病院での診断は過呼吸症候群およびパニック症候群であった。現在はうつ症状と憂うつ感で外出が困難である。そのために会社を辞めた。これらの症状のほかにズキンズキンとした血管拡張性の頭痛と強い胸やけがしばしば出ることがある。この胸やけは友達と外食するときに良く出てくる。口の渇きがあるために、水分を良く摂っている。

弁証

・八綱弁証:虚実挟雑証で、熱証

・気血弁証:気虚証

・五臓弁証:脾胃

・病理的産物弁証:水滞証

・病邪弁証:湿邪

病名

この方の病名は湿熱証。選薬は熱邪を解消する清熱剤(せいねつざい=興奮を鎮めていく薬剤)に、湿邪を取り除く化痰利水剤(けたんりすいざい=水分の代謝を調節する薬剤)を配合。

経過

服用後、2週間ほどで、強い頭痛がなくなった。3ヵ月後には過呼吸や頻脈などの症状はまったくと言ってよいほど出なくなった。しかし、まだ、外で、友達と会食したり、車の中で頭を振ったりすると強い胸やけが起こる。半年経って、胸やけがすることはなくなった。1年半ほど、漢方薬を服用したころ、飛行機で、友達の結婚式に行ったが何とか無事に帰ってこれた。

考察

この方の場合、強い口渇、それとともに、胸やけと血管拡張性の頭痛があることから、水滞証であることが簡単に理解できた。水滞証では強い胸やけや呑酸を起こることが多い。また、水滞証では細胞間隙のむくみから、血流の強い低下が起こるために、呼吸筋の収縮から過呼吸が、大脳新皮質系の血流低下からパニック障害が起こりやすい。この方の場合は口の渇きはあったが、水分の摂取はそれほど多いものではなかった。また、水分の摂取量に比べて、排尿回数がそれほど少ないわけでもなかった。さらに、水滞証特有の「むくみ」も訴えておられなかった。しかし、症状の中に口渇と強い胸やけそして血管拡張性の頭痛がみられたことから、水滞証の存在を把握することが出来た。

この方の発症の背景には社会に出てからの精神的緊張が水分の代謝に障害を与えてしまったようである。精神的緊張は気滞証や水滞証の基盤になると漢方医学では考えているが、この方の例はまさに典型的なものと思われる。