経験例12 身体が苦しく、だるい 71才 女性

発病の経過と症状

3年前から、不整脈が起こり始めた。病院行ったが特に異常は診られなかったとのことであった。その後、強い抑うつ症状やからだがだるいあるいは気分が悪い、食慾がなくなるなどの症状が出てきた。しかし、病院にたびたび行くが、いつも同じくすりを出されるだけであった。ほとほと困った末での相談である。家庭での仕事が出来ないために、娘の所に厄介になっている。骨に良いと聞き、4年前から牛乳を飲んでいる。

弁証

・八綱弁証:熱証で、虚証。

・気血弁証:気虚証

・五臓弁証:なし

・病理的産物弁証:脾胃

・病邪弁証:飲食不節

病名

心下の痞えと強い食欲不振から、脾胃不和証と判断した。選薬は脾胃不和証の漢方薬

経過

2ヶ月ほどの服用で、抑うつ感が減り、近所へ、買い物に出かけられるようになった。肩こりと食慾および不整脈には大きな変化はまだ見られなかった。3ヶ月目をすぎる頃にはテレビが見られるようになったが、まだ、気分の悪さは取れない。5ヶ月ほどで強い症状のほとんどは消失。6ヶ月をすぎる頃には、ご自分の家に戻れるようになった。

考察

この方の場合、特に強い精神的緊張下におられたようではない。それなのに、強い食欲不振と抑うつ感が出てきたとしたら、飲食の不節しかない。あまり好きでもない牛乳を骨のためと考えて飲んできたのが胃腸機能を亢奮させてしまったのが原因だと思われた。