経験例02 パニック障害と診断された28才 女性 【 パニック障害の治し方 】

発病の経過と症状

歯医者さんの治療中に突然、強い動悸と吐き気に襲われた。その後、この状態がしばしば現われたので、心療内科で受診したら、パニック障害と診断された。メ○ラ○ク○と言う精神安定剤をいただいて、4ヶ月ほどしたら、症状は鎮まってきた。しかし、その後、「喉の異物感・痰が切れない・嘔吐する」などの症状が出てきて、その2ヵ月後からは「背中の痛み」さえ強く出てくるようになった。

今回の発病は出産後、3ヶ月ほど経ってからとのことである。この方はご自分の性格を神経質と仰っていた。小さい頃からいつまでもくよくよ考え込んだり、人の言動が気になったり、顔色を伺うことが多かったとのことである。20才の頃には激しいめまいに襲われたこともあるし、24才の時には流産をして、そのショックで激しい嘔吐・のどの異物感・下痢で入院されたこともあったとのこと。このときにも心療内科から、パニック障害と診断された。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚実挟雑証。そして強い熱証。総合的には陽証であった。

・気血弁証:気虚証で、血虚証。

・五臓弁証:この方には「イライラする・怒りっぽくなっている・抑うつ感が強い・憂うつ感が強い」などの情緒の強い乱れがあること、精神的に過敏であること、流産や出産を契機にして、体調を崩していること、そして、気滞証を持つことから「肝」に病位があると判断された。

・病理的産物弁証:「喉の異物感・痰が切れない・嘔吐する」ことから、気滞証があることがわかった。また、「痰飲証」と言う水滞証であることもわかった。なお、気滞証は実の症候であるので、この方は虚と実の症候が混ざり合った虚実挟実証であることがわかる。

・病邪弁証:内傷七情。

病名

この方の病名は湿熱証。選薬は熱邪を解消する清熱剤(せいねつざい=興奮を鎮めていく薬剤)に、湿邪を取り除く化痰利水剤(けたんりすいざい=水分の代謝を調節する薬剤)を配合。

経過

1ヶ月の服用で、背中の痛みはなくなったが、「痰が切れない・次から次へと痰が出てくる」と訴えておられました。2ヶ月の服用が終わる頃には「緊張することがなければのどの圧迫感はないが、しかし、イライラと肩こりが気になる」と言う状態であった。4ヶ月を過ぎるころに、妊娠されたが、その後も、服用を続けていただいた。たヾ、安胎薬を中心にした処方に変更したのは言うまでもない。服用開始から、半年ほどで、「喉のつまりは強いが、肩こりや体のだるさあるいは動機はなくなった」とお話を戴いた。7月に入って、「体調は良い」状態になり、その後、波はあったものの、辛い症状はほとんど影をひそめてきた。そして、無事に出産された。
赤ちゃんは上のお二人のお子さまよりも発育が良く、元気だとのご報告を受けた。出産後に手のこわばりが出てきたために、リューマチ専門の先生に診てもらったところ、リューマチに限りなく近いと診断されて落ち込まれたが、手のこわばりや炎症反応は女性ホルモンを乱している病態ではしばしば見られる現象であるから漢方薬を続けて服用されるようお勧めをした。

考察

このご報告は服用を開始されてから1年4ヵ月後のことです。最初の不快な症状はほとんど消えていて生活がとても楽になっている。また、手のこわばりも軽減してきている。廃薬はもうすぐだと感じている。