経験例03 不登校の女子 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

朝起きると、体がだるく、頭痛がして、吐き気さえ出てくるので、学校に行けない。本人は学校に行かなければならないと思っているが、身体が言うことを聞いてくれず、起きられないと言っている。午前中は寝ているが、お昼ごろに起き出してくるが午後から夕方にかけては体調は良くなり、夜は最も体調が良くなる。病院ではいじめにあっているので、学校に行けないのであろうと決めてかかっている。
しかし、本人は学校は楽しいので、行くのは嫌いではなく、ただ単に朝がとても調子が悪く、起きられないだけであると言っている。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚証で、熱証。総合的には陽証。

・気血弁証:気虚証 血虚の症候は見当たらない。

・五臓弁証:「舌苔が厚い、朝食は食べたくない、口がねばる、胃が張る」などから病胃は脾胃にあると判断された。

・病理的産物弁証:「口渇多飲、むくみ、下痢~軟便」から痰飲証(水滞証)がある。

・病邪弁証:熱邪と湿邪の侵襲による。

病名

弁証から、この方の漢方医学における病名は湿熱証である。精神的ストレスが熱邪となり、その熱邪が身体に過剰な熱を発生したために、その熱を冷やそうとして、水分(特に冷たい飲み物)を異常に好むようになったようだ。その過剰な水分の摂取が湿邪となり、湿熱証を起こしてしまったと判断された。

経過

漢方薬1ヶ月の服用で、体調は戻り、学校に行けるようになった。3ヶ月ほどで、症状のすべてが消失した。本人はすこぶる体調が良いと言っている。

考察

このお子さまはまじめで、優等生タイプである。優等生であろうとすることが強い緊張感を生みだしたために、その緊張感が熱邪になって、体の中に強い熱の発生を促してしまったようである。飲んでいる水分が水分の排泄能力を越えていたために余剰な水分が湿邪に転化したと思われる。起床時の体調の悪さと夕方以降の体調の改善は明らかに湿邪の侵襲を疑わせる。