経験例04 不登校の男子 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

辛い症状は「朝起きられない・とにかく眠い・身体がだるい・朝頭痛や吐き気がして気持が悪い・車酔いが激しい」であった。ご両親は部活の運動で無理をしたことが原因ではないかと仰っておられる。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚証で、熱証。全体として陽証。

・気血弁証:気虚証。血虚の症候はない。

・五臓弁証:呑酸・吐気・空腹時の胃の不快感などの胃気逆の症状が出ていた。また、「口内炎が出来やすい・歯茎が腫れて痛みやすい」と言った胃熱の症候が見られたことから、胃に病位があると判断された。

・病理的産物弁証:「尿回数が少ない・水分の過剰摂取がみられる・胃酸が過剰に分泌される」などから水滞証があると判断した。

・病邪弁証:舌苔はわずかに黄。厚膩から、熱邪と湿邪に侵襲された病態と判断した。

病名

運動で、身体に強い熱の発生が起こったために、冷たい飲み物を異常に欲するようになってしまったようである。水分の摂取が排尿や発汗での水分の排泄能力を越えていたために、水分の排泄が充分でなくなり、胃酸として、排泄するようになったと思われる。つまり、運動と言う熱邪と水分の過剰な摂取と言う湿邪が体調を侵襲したと判断した。湿熱証である。湿熱証の治療は湿邪を改善する化痰利水剤と熱邪を解消する清熱剤を配合すればよい。

経過

漢方薬1ヶ月で、まったく問題なく、学校生活を送れるようになった。

考察

この子の場合は飲んでいる水分が冷たくて、おいしい炭酸飲料やスポーツドリンクだったために、水分を必要以上に摂取しすぎたことと、糖分の摂り過ぎが胃酸を異常に引き出したのだと思われた。