経験例05 全身倦怠感と不安感を訴える年配女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

「全身の倦怠感、不安感、時折顔がほてる、食欲不振、足の冷え」を訴えられておられた。5年ごろ前、転倒して、膝を打撲して、内出血を起こしてから、症状が出始めたが、それまでも、季節の変わり目や風邪を引くと症状が出ていた。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚証、寒熱証では平証、総合的な陰陽は平証と判断された。

・気血弁証:気虚証。

・五臓弁証:脾病

・病理的産物弁証:気滞証も、水滞証も、血滞証も特に現われていない。

・病邪弁証:飲食不節

病名

この方には「お腹がすかない、食べたくない、食事がおいしくない、ほとんどが軟便」と言った胃気虚の症候があった。脾胃気虚証であれば「食事がおいしくない」と言う症状は出ない。また、「不安感」と言う「心病」の症状もほとんどでない。以上から、この方の病名は「脾胃不和証(ひいふわしょう)」と判断した。

経過

1ヶ月の服用後、「食欲が出てきた。他の症状も軽減してきている」との事であった。3ヶ月が過ぎる頃には「3食食べているが、お腹が減った感じではない。顔のほてり、不安感はほとんどなくなった。倦怠感は軽減してきているがまだある」と言う状態であった。5ヵ月後には「3食とも食べている。少しずつではあるが動けるようになってきている」とお話された。

考察

この方の体調を崩す前にはコーヒーを1日に4杯も飲んでおられた。もともと、胃腸を亢奮させやすい方が胃腸を刺激するコーヒーを好まれるようになったことが胃腸を乱す原因だったと考えている。