経験例01 たくさんの不快な症状を感じている女性 54才 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

発症は1年前です。「食慾があまりない、強い倦怠感、微熱が出る、耳鳴り、肩~首のこり、風邪を引きやすい、いらいらする、腹が立つ、下腹がはる、頭痛がする、ガスが多い」などたくさんの不快な症状を出しておられた。最近、仕事でパソコンを使うことになり、緊張感が増していた。また、家庭内でトラブルがあった。閉経はまだであるが、このところ、不順になってきているとのことであった。

弁証

・八綱弁証:裏証、虚実挟雑証、熱証で、総合的には陽証

・気血弁証:気虚証で、血虚証

・五臓弁証:この方は「食慾がない、倦怠感が強い」ことから、脾気虚証であり、情緒の乱れが強いことと、気滞の症候がみられることから、肝実証でもあることがわかった。

・病理的産物弁証:「下腹がはる、ガスが多い」などから気滞証があることがわかる。また、「立ちくらみ、動悸、めまい、車酔いをしやすい」ことから、痰湿証と言う水滞証があることもわかった。気滞証は実証の症候であることから、虚実挟雑証と言ってよい。

・病邪弁証:内傷七情(精神的ストレス)

病名

情緒の乱れと気滞があれば病位は「肝」にある。このような症候群が揃えば「肝気欝結証(かんきうっけつしょう)」と言う病態が基盤となっていると判断してよい。この方の場合、「熱証」であるから、肝気欝結証が「化火(かか)」をおこした肝欝火化証(かんうつかかしょう)である。以上の弁証から、この方は「痰湿の脾気虚で、血虚証の肝欝火化証」であることがわかる。

経過

1ヶ月ほどの服用で「少し良い」とのことであった。3ヶ月目には「やる気が少し出てきた」、半年目には「症状はほとんど気にならなくなっている」とお話を戴きました。この方は計1年2ヶ月ほど服用されて、廃薬をした。

考察

この方はもともと精神的緊張の強い方だったようだ。その方が女性ホルモンが乱れる時期に強い精神的ストレスを受けて、「肝(間脳)」を強く亢奮させてしまったのが自律神経を乱した原因と判断される。