こんにちは。
自律神経失調症専門のせいゆう薬局です。
漢方薬専門店でもあるので、漢方薬だけで治療をおこなっています。
今回のひとりごとは、
漢方薬については調べない方が良い!?
です。
これだけではなんのことだか分かりませんね。
当店のお客さまで稀にある事例としてお伝えしてみたいと思います。
特に心身が不安定で不安感や恐怖感が強い方は、治療前(服用開始前)には気を付けましょう。
それでは始めていきます。
漢方薬について調べない方が良いとは?
例えば、体調不良があり漢方薬で治療したいと考えた時、
- ・どういった漢方薬があるのか?
- ・どういった漢方薬で自分の不調が治るのか?
- ・その漢方薬は自分に合っているのか?
- ・どんな副作用があるのか?
など、知りたくなるのは当然のことかと思っています。

ただし、調べてしまったことでの弊害というものも存在しています。
とてももったいない弊害です。
漢方薬について調べた弊害とは?
自分で独自に漢方薬を調べた結果によって治療結果が左右されてしまうということがあります。
自分に合わないと判断してしまったり、副作用を怖いと感じてしまったことでそれが実際に体に起こってしまうのです。
思い込み(先入観)の力は皆さんが思っている以上に強いもので、例え適した漢方薬で普通に服用を続けていれば改善していくはずのものでも、服用すると不調が出てしまいます。
事前に調べさえしなければ順調に良くなっていっていたものが、
調べてしまったが故に効かなくなる、服用出来なくなってしまう
ということが普通に起きてしまいます。
もちろん、ほとんどの方は事前に調べたとしても特に変わらず服用して効果を得られるのですが
一部の心身が不安定な状態の方、不安感が強すぎる方、緊張感が高すぎる方、思い込みが激しすぎる方では一定の割合で、不調が実際に出てきてしまいます。
(特に以前に漢方薬の服用、もしくは西洋薬の服用で不調・副作用が出てしまった方に多いように感じています。薬そのものに不信感、不安感を持っているのでしょう。)

そうであれば漢方薬については調べない方が良いという結論になります。
問題のない事例は?
通常の漢方治療では、事前に調べた結果で不調が出てしまうことはまずありません。
特に自分で市販の漢方薬を選んで治療をしていく場合、調べてから購入しているため
自分で納得したものしか購入していません。
合わないと思っていない漢方薬ですので、思い込みによる不調が出てしまうこともありません。これは当然です。
ただし、自分で調べた漢方薬が自身の体調不良を治すために適しているかどうかはまた別の問題です。
適した漢方薬を選べていないために、長く服用しているが効果も得られていないという方もたくさんいらっしゃいます。

ほとんどの方が漢方薬本来の選び方(根本治療)をしているのではなく、西洋医学的な選び方(症状別漢方)をしていたり、ネットなどで得られた誤情報を基に漢方薬を選んでいるためです。
病院の医師が出す漢方薬でもこのようなことはほとんど起こりません。
何故なら、医師が選ぶ薬は間違いないという安心感があるためです。
ただ実際は病院の医師も一般の方と同じように、西洋医学的な漢方薬の選び方をしています。1つの症状を治すための漢方薬を選んでいます。
医師は漢方薬について特別な知識を持っているのではなく、一般の方がネットで得られる程度の知識しか持ち合わせていません。(もちろん例外は居ますよ)

したがって、医師から出された漢方薬は、ネット情報などとも合致する内容のものが出てくることがほとんどです。医師から出された漢方薬もネット情報と一致するのでさらに安心出来ます。
この場合も服用して不調が出てくることはありません。
蛇足:
たちが悪いのは、漢方専門医にもこの傾向があることです。
しっかりと選薬されている医師の方が多いとは思いますが、漢方専門医から出された漢方で治らないという相談を受けることも多いです。
漢方医だからと信頼しているのだが、なかなか治らないために業を煮やして当店に相談いただくケースです。
いずれにせよ、自分で漢方薬を選んだ場合や病院から処方された漢方薬で先入観による不調が出てくることはほぼありません。漢方薬の内容に納得した上での服用になるためです。
ただし、治るかどうかは別問題であるということは認識しておきましょう。
西洋医学的な漢方薬の選び方とはなんなのか?
西洋医学的な漢方薬の選び方とは、症状別漢方と呼ばれるものです。
症状別漢方とは、「この症状にはこの漢方薬を使います」という
1つの症状に対して、数種の漢方薬が既に選ばれており、その中からお薬を選ぶという形の選薬方法です。
例えば頭痛には呉茱萸湯とか、めまいには苓桂朮甘湯とか、胃腸の乱れには六君子湯など
症状に対して処方がある程度決まっています。
メリットは薬を選びやすい点が上げられますが、当たりはずれの差が大きいことが大きなデメリットです。
当たり=症状が改善する という可能性は実はかなり低く
はずれ=症状が悪化する という可能性もそれなりにあります。
改善したらラッキー、改善しなくて当然、悪くなったらアンラッキーだったというような薬の選び方と言えます。
西洋医学の薬を選ぶ際にはこれで問題ありません。
ほとんどの薬は、1つの症状を改善させるために作られているためです。

したがって、例えば頭痛を治したい時には鎮痛剤を選べば間違いありません。
しかし漢方治療では、例えば頭痛であれば、頭痛が出ている原因を突き止めて、その原因を治療出来る漢方薬を選ばなければ改善は進みません。
(頭痛の緩和は可能ですが、それは治っているのではありません。)
突き止めた原因が間違っていたり、原因に対して処方が間違っていると頭痛が悪化するリスクもあります。
漢方薬を調べて不調が出るのは何故なのか?
上述した続きになりますが、漢方治療では通常、症状別漢方ではなく、根本治療・原因別漢方という形で治療を進めていきます。
原因を改善していくことに適した漢方薬を選んだ場合、
「何故、この症状の治療にこの漢方薬を使うのだ??」
というミスマッチが発生します。
もちろん、専門的な漢方治療家にとっては当然の選薬結果だったとしても、知識のない一般の方にとっては

何故この漢方薬でわたしの不調が治ると言っているのか分からない
という考えが発生してしまいます。
漢方薬の効能効果に記載されている症状とは全く別の症状を治療することもあれば
ネットでいくら探しても、この症状が治るとは記載のない漢方薬もあります。
漢方薬の効能効果はとても限定的にしか記載されていないことが悪いのですが、これはまた別のひとりごとテーマとして書いていきたい案件です。
そして、漢方薬を調べていく上で一番ネックになるのが
副作用などのネガティブ情報です。
副作用について気にする方は、そうした情報を見つけてしまうと心配でたまらなくなります。
漢方薬の副作用については、また別の機会のひとりごとでつぶやいていくつもりですので、今回は割愛します。
結論だけお話しておくと漢方薬の副作用は服用を躊躇するようなものではありません。
また、間違った知識に基づいて、ご自身が自分に合う合わないの判断をしてしまうことも多いです。
私は虚証のはずなのに、実証の漢方薬を処方された
とか
私は冷え性なのに、体を冷やしてしまうような漢方薬を処方された
とか
血圧が低いのに、血圧を下げてしまうような漢方薬を処方された
などです。
当店は専門家(専門店)ですので、一般の方よりは漢方医学や漢方薬についての知識は持っていると思います。
自分が虚証であるか実証であるかを正しく判断出来ている方は少ないですし
自分が冷え性であるかを正しく判断出来ていない方も多いです。
(冷えを感じる=冷え性と勘違いされている方が99%かと思います。)
血圧が低い方にも血圧を下げると記載されている漢方薬が使えることをご存知ない方は100%でしょうか。
自分の知識やネットで得た知識が間違いなく正しいと思ってしまっているため、それに合わない漢方薬が出てきた時に強い拒否感(不安感、恐怖感等)を感じてしまう方も少なからずいらっしゃいます。

何に対しても過敏に反応してしまうという不調をかかえて相談にこられる方も多いためです。
冷静な状態であれば受け入れられるものも、体調不良時は冷静に受け止められず、合わない漢方薬を出されたことで服用に対して過度な緊張・恐怖を感じてしまうと
合っている漢方薬を服用しても不調が出る
という事例が発生します。
これは調べなければ出てこなかった(感じることのなかった)不調と言えるものです。
だからこそ、漢方薬について調べない方が良い!という結論としています。
※ただ、実際は「調べるな」というのは無理な話で、結局はどんな漢方薬だろうと調べることになるでしょう。
このひとりごとを読んでおいていただき、自分の知識やネットの情報が合っていないかも知れないと頭の片隅にでも残ってくれれば幸いだと思っています。
せっかく合っている漢方薬を服用しても、事前情報の悪さで不調が出たり、服用を続けられないことになるのを少しでもこうした方達を減らすことが出来ればと思い、このひとりごとをつぶやいています。
不調が出てしまったら
既に長文となってしまっているので、駆け足で説明していきます。
漢方薬を調べたことで不調が出てしまった場合は、仕切り直しをしていきます。
合わないと感じている根拠を知らせていただいて、正しい情報に塗り替えていくことでもう一度服用にトライしていただくことがあります。
ただ、一度不調が出てしまうともう一度服用出来る可能性はだいぶ低くなってしまっています。
実際に不調を感じてしまっており、その方にとってはそれが紛れもない事実であるためです。
その場合は、処方を違うものに変更してまた治療を再開していきます。
もちろんこの際には、しっかりと正しい情報を伝えた上で、出来ればネットなどで調べないようにとお願いしていきます。
初回にお出しした処方が(当店が考える)ベストなものなので、変更した処方はベターなものになっていますが
服用を続けられない漢方薬にいくらチャレンジしても結果的に良くなっていくことはありません。
服用を続けられる漢方薬であることが優先され、少し改善が遅れることは許容していくことになります。
まだまだ書きたいことはあるのですが、超長文になってしまいそうなのでいったんここでひとりごとは終了です。
結論
このひとりごとの結論は「漢方薬について調べるな」ではありません。
調べるなと言われても難しいと思っています。
本当に伝えたい結論は
あなたの知識やネットの情報が正しいという前提で判断を下さないこと
です。
漢方治療は専門性がとても高く、本来は専門的な知識のない方がパッと適切な漢方薬を選べるようなものではありません。それを市販薬として販売していることにも問題はあります。
ネット上にも誤情報が多く、
この情報にだまされる人が居ませんように

と願うことも多いです。
漢方薬の役割(効能効果)を説明するにも、人の体がどういう状態になっているのかしっかり知識として入っている人にしか説明が難しいものです。
1つの漢方薬を紹介するサイトページがあったとして、しっかり正確に過不足なく説明出来ているサイトは皆無と言えます。
正直なところ、当店も知識のない方にこれを読んでもらえればこの漢方薬のことがしっかり分かるよというページを書ける自信がありません。
だからこそ、当店のサイトには具体的な漢方薬を例示して治療や効果を説明するようなページは用意していません。
この漢方薬はこんな不調・症状の治療に使えるんだ、、と簡単に理解出来たように思って欲しくないのです。
ネット上の知識を基に当店が選んだ漢方薬が自分に合わない(服用開始前)と苦情をいただくことが以前からちらほらあることもあり、今回のひとりごとを書くことにしました。
心身が不安定な方では、合わないと感じながら服用してしまうと本当に不調が出てきてしまうのが厄介です。治療に必要な漢方薬が服用出来ないとなると治療の手立てが狭まっていきます。
漢方治療をご検討の方はネットの知識を鵜吞みにしないこと。
出来れば信頼出来るという医師や薬剤師、病院や薬局を見つけて相談しましょう。
少なくとも自分の知識、知っていることが正しいとは限らないことを頭の片隅に入れておいて下さい。
今回のひとりごとは以上です。
思った以上に長文となりました。最後までお読みいただきありがとうございます。