【漢方薬屋のひとりごと19】 風邪薬の利用法(西洋薬編)

こんにちは。

自律神経失調症/パニック障害専門のせいゆう薬局です。

漢方薬専門店でもあります。漢方薬だけでの治療を行っています。
(サプリメントや健康食品の販売は行っておりません。)

今回のひとりごとは

です。

当店での漢方治療中のお客様から

と質問されることも多く、返答と併せてお伝えしていることがあるので

今回は風邪薬(西洋薬)の位置付けや利用法、有用性についてもお話していきます。

長くなりそうなので、風邪薬(漢方薬編)についてはまた別でお話していきたいと思います。

それではよろしくお願いします。


まずは西洋医学の風邪薬について重要な点をお話していきます。

大事なことなので見出しと同じことをもう一度書きました。

風邪を治療する薬があるとすれば、風邪ウイルスを死滅・抑制させることの出来る薬ということになりますが

ここまで医学は発展しているにもかかわらず風邪ウイルスを退治出来るような薬は未だに発見・開発されていません。

風邪ウイルス最強

つまり

ということをまずは頭に入れておきましょう。

注:インフルエンザについては治療薬(ウイルスの増殖を抑える薬)が開発されています。


それでは風邪薬はなんのために使うのか?

それは生活(仕事)を楽にするためです。

風邪症状で支障が出る

など、不快な症状を緩和させることで、生活しやすくするために使います。

風邪薬を飲んだからといって、風邪が治る訳ではありません。

風邪によって出てきている症状を薬の力で抑えるだけです。


総合感冒薬と呼ばれるような風邪薬には、解熱鎮痛剤・鼻炎薬・咳止めなどの薬がセットで配合されています。まるっと風邪の症状に対応出来るようになっています。

一方、医学的な知識が一定以上ある方では、出ている症状に対応出来るように薬を飲み分けている方もいらっしゃいます。

などです。

頭痛・喉痛には
痛み止め

総合感冒薬では、必要のない薬までセットで服用してしまうので、要らない成分は服用したくないという方は症状に合わせた薬を服用されると良いです。


この記事を書いた一番の目的は、風邪薬のデメリットをお伝えしておきたいためです。

風邪薬は治療薬ではないとしたのは上述の通りです。

さらに言えば、風邪薬は風邪が治るのを遅らせるものでもあります。

それでは解説していきます。


風邪の際に出てくる症状にはしっかりとした意味があります。

・発熱
体温を上げることで免疫力を上昇させています。
1℃体温が上がることで免疫力は10倍になると言われています。

・くしゃみ、鼻水
体に入ってきたウイルスを排泄するために行われています。

・咳
同上です。ウイルスを排泄するためのものです。

・頭痛、喉の痛み
これらの症状については、付随症状ですので特に意味はありません。
感染に伴う炎症・充血反応から結果的に出てきてしまう症状です。
なのでこれらの症状については、今回は除外して考えていきます。
(強いて言えば、痛みを出すことで静養を促すためでしょうか。)


さて、ここで風邪薬を飲むことにしましょう。

発熱
→熱が出たので熱を冷ましたいと解熱剤を服用しました。
→熱が治まり、スッキリとしました。
→しかし、熱が上がったのは免疫力を上げるためでもありました。
→熱が下がったことで免疫力も低下し、結果的に風邪が長引く結果に。

鼻水・くしゃみ・咳
→これらを止めたいので鼻炎薬や咳止めを服用しました。
→症状が軽くなりスッキリです。
→しかし、ウイルスを排泄する行為を止めてしまいました。
ウイルスは体に残りやすくなり、結果的に風邪が長引く結果に。

つまり、服用すると症状は緩和され楽になるが、風邪の治りはかえって遅くなる

それが風邪薬です。
(だいぶ極論です。もちろん例外もあります。)

デメリットもある

まずはこれを頭に入れておきましょう。

風邪の時に出てくる症状は意味のあるものです。身体が風邪ウイルスと戦っているために出ています。邪魔をせずにご自身の免疫力に任せましょう。


それでは風邪薬はどのような時に使うべきなのでしょうか。

それは「治りが多少遅くなっても良いから、今の生活・仕事を乗り切らなくてはならない時」です。

治りが遅くなることは受け入れた上で、それでもなお服用をしなければならないと感じた時に服用しましょう。

など、しっかりとした理由があること。

また、これとは別で体温が39℃を超えたあたりからは、高熱によって体力を奪われていく状況にもなるため、高熱になり過ぎた場合には熱を抑える方が良い場合はあります。
(熱が高くても全く平気な方もいるので、このあたりは人によるかと思います。)

風邪を治すためにと思って、風邪薬を服用するのは間違いです。
風邪薬は症状を緩和するためだけのものであり、デメリットもあると理解しておきましょう。

治療薬ではないよ

この点を意外と理解していない方が多いので、お伝えがてらひとりごととして呟いてみました。


そこで結論です。

最短で風邪を治したい場合は、家で布団で安静にしておくこと

安静こそ最強

です。

余計なエネルギーは使わないこと。
体内の全てのエネルギーを回復力に回せるように、出来るだけ安静にしておきましょう。

風邪の時には栄養のあるものをという考え方は戦前のものです。
現代では体内に既に風邪と戦うためのエネルギー(栄養)は十分に蓄えられています。
わざわざ栄養のあるものを食べる必要はありません。

実際、消化・吸収を行うことにもエネルギーが消費されてしまうため、不要に食事を摂り過ぎると消化・吸収のためにエネルギーロスが起こります。

無駄な飲食は行わず、それこそおかゆなどの消化に優しい食事を心掛けましょう。

おかゆで十分

何か摂っておいても良いものがあるとすれば、風邪の時に消費されやすいビタミンやミネラルなどで十分かと思います。

サプリメントや栄養ドリンク、スポーツドリンクなどで多少補給してみて下さい。

あとは 寝ておくこと です。

もちろん個々で生活や仕事の事情は違いますので、安静に出来る状況にあるのであればです。

無暗に風邪薬を服用して、意図せず回復を遅らせることのないようにはしておきましょう。


漢方薬の風邪薬については、また長くなりそうなので別に呟いていきたいと思います。

正直なところ、漢方の風邪薬は使いにくく、あまりお勧めはしていません。

漢方薬の使い方を正しく理解することが難しいためです。

ただし、身近に漢方薬局があり、風邪の時に毎回相談に行けるような時には、相談して利用するのは良いと思います。自己判断が難しいのです。


細かいところですが、薬の効能・効果の部分に関係する部分についてもお話しておきます。

解熱鎮痛剤と呼ばれるものについてです。

解熱(鎮痛)剤

字のごとく解熱作用と鎮痛作用のあるものを解熱鎮痛剤と呼びますが

熱を冷まそうと解熱剤を服用するともれなく鎮痛作用もセットになります。
もう一方で痛みを抑えようと鎮痛剤を服用するともれなく解熱作用もセットになってついてきます。

どちらか片方の作用だけを都合よく享受することは出来なくなっています。

どちらかだけは
難しい

つまり、風邪を引きました免疫力は下げたくないので「解熱剤は服用したくない」のだが
頭痛と喉の痛みがあるから「鎮痛剤は服用したい」という希望を叶える事が出来ません。

頭痛や喉の痛みを抑えることは風邪の回復に大きく影響を与えることはないと考えられますが

に繋がってしまいます。

このあたりはもどかしいところですが、トレードオフの関係(どちらかしか得られない)となります。

頭痛や喉の痛みは作業効率を落としやすいので、仕事をする上では抑えておきたいものになります。
(発熱だけなら問題なく動けるという方は多いかと思います。)

薬の服用どうしよう?

というあたりが、選択肢になるかと思っています。

痛みだけ抑えてくれる薬が開発されるだけでも、だいぶ楽になるとは思うのですが。
今後に期待しています。


悪い癖で長い文になってしまいました。申し訳ありません。

風邪薬の適切な使用法、注意点(デメリット)とご理解いただけましたでしょうか?

細かい部分について言えば、ツッコミどころのある内容かと思いますが

当店としては大きな意味合いとして、風邪薬に対してこうした考えを持っています。

参考にしてみて下さい。

また、いずれ漢方薬の風邪薬についても記事化していきたいと考えています。

気長にお待ちください。

最後までお読みいただきありがとうございました。