【漢方薬屋のひとりごと】 熱中症対策に水分摂取は有効なのか?

こんにちは。

自律神経失調症/パニック障害専門のせいゆう薬局です。
漢方薬の専門店でもあります。

今回のひとりごとは、時期的(7月末投稿)に発信が少し遅いかと思いますが

です。

西洋医学的な目線での熱中症対策は、いろいろと報道されていますが

漢方薬局(東洋医学)目線での熱中症対策をつぶやいていきたいと思います。


まずは熱中症に対する一番の対策から発表しておきます。
対策というよりも、解決策と言って良いのかもしれません。

暑いところに身を置かないこと

です。
(ごめんなさい。本題は後ほど出てきますので、ここでの離脱はご勘弁下さい。m(_ _)m)

「そんな当たり前のことを」と厳しいツッコミを受けそうですが、ふざけているようで真剣です。

熱中症にならないためには、まずはここを一番に考えて欲しいです。


当店では自律神経失調症の治療を主に行なっていることもあり、
そもそも体調不良をかかえていらっしゃる方に向けての発信が主になります。

既に体調不良を抱えている方は、熱中症になりやすいです。

体調不良を抱えている方は、出来るだけ快適な環境で過ごすように心がけておいて欲しいと思っています。

エアコン(クーラー)は、しっかりと使いましょう。
冷房病という言葉もありますが、そんなことを気にする必要はありません。
設定温度は低く、快適に生活しておいて下さい。エアコンで寒い、長袖シャツを着て丁度良いくらいでも良いほどです。

出来るだけ快適に

もちろん電気代はかかります。ただし、金銭的な負担で体調良く過ごせるのであれば、それに越したことはありません。
夏場の数ヶ月、いつもの電気料金の倍になろうと快適に過ごして体調を管理して欲しいと思っています。

熱中症後に大きく体調を崩し、その後数年以上不調が続いているという方は珍しくありません。
当店でも熱中症後の体調不良相談をいただくことは多いです。
そして、この体調不良の治療のために(おそらく電気代以上の)大きな金銭的な負担をすることになっています。
また、不調の状態のままで過ごす長い期間はお金での埋め合わせが出来ません。

調子の悪い期間が続くことが、どれだけの時間損失を起こしているのか。
当店では10年~20年と調子が悪く、やりたいことも出来ないまま、苦しみながらなんとか生活しているという方をたくさん診ています。
健康で体調良く生活出来ることがどれだけ幸せなことなのかは、体調を崩してからしか気付けないものです。

どうか、エアコン・クーラーなどの電気代をケチらないで下さい。
冷房が体に悪いという謎の言説を信じる必要もありません。

熱中症になり、その後数年~10年と体調が悪いという方はたくさんいらっしゃいます。
そうなった時、必ず後悔することになると思います。

熱中症後の体調不良については、また別の機会にひとりごととしてつぶやいていきたいと思います。


そうは言っても、外出しない訳にはいかない!

もちろんその通りです。

したがって、外出は出来る限り短時間に済ませるように。
定期的に建物内(店内)に入るなどして、しっかりと涼を取るようにもしておきましょう。


最近では冷感グッズなども充実してきています。

携帯用の扇風機なども充実していますが、このあたりは体温付近(以上)の気温になった場合は役に立ちません。かえって熱風を浴びて悪い場合もあります。
空調服と言われるようなファン付の服・ベストも同様です。
使えるのは比較的涼しい時期と考えましょう。

しっかりと身体を冷やせるグッズを駆使しましょう。
物理的に身体を冷やせるものがお勧めです。

など、かなり充実しています。

値段が張るものであったり、使う手間がかかるものなどもありますので、ご自身に合ったものを選ばれると良いと思っています。

わたしは水冷服という商品を愛用しています。
氷水を衣服内チューブで循環させ、身体を物理的に冷やしていくものです。
寒すぎると感じるくらいに身体を冷やせます。

こんな良い商品があるよと具体的にお勧めするのは、宣伝・広告をしているようになるので控えておきます。皆様それぞれ検索してみて下さい。

良い商品はたくさんあります。
体調を管理するために金銭は惜しまない方が良いです。
出来るだけ快適に過ごせる努力はしておきましょう。


物理的に身体を冷やすことは本当に重要です。

わたしは屋外作業時(庭仕事など)には水着を着て、ラッシュガードを着た上で定期的に頭から水をかぶっています。
南国宮崎の真夏の炎天下、数時間作業をしていても全く平気です。
(気温は36℃を超え、実測では40℃を超えることもあります。)

とても快適に作業が出来ています。水をかぶると気持ちが良いです。
発汗などよりも段違いに身体も冷えます。濡れた後の気化熱でもとても涼しいです。

ただし、この方法は特定の状況でしか選択出来ないのが難点ですね。

そして、実はこの屋外作業の間、ほぼ水分補給はしていません。


ではここから、本題です。
(本題までが長かったです。申し訳ありません。)

私は昔から

という方法について、とても懐疑的になっています。

少し前には、

と報道されたことがあります。

つまり、

水分(塩分)補給をどれだけ意識して実践しても、熱中症にはなる。

ということです。
気温・室温の高い場所に身を置いた時、物理的に身体を冷やしていく以外で熱中症を防ぐことは不可能と考えておいた方が良いです。


水分をたくさん補給したとします。
この水分は排尿や発汗することで熱を冷ますために使われなければ熱対策になりません。

発汗はもちろん汗が蒸発する時の気化熱によって、身体を冷ますことが目的です。
排尿とは、体温とほぼ同温の尿を排泄する。つまり身体から熱を排泄する行為です。

摂った水分は排尿や発汗によって、排泄されることで初めて熱を冷ます行為に繋がります。
(冷たい水を体に入れ、体内で温めて外に出しています。)

失われた水分を補給するだけでは、熱の対策にはなっていません。
もちろん、体内の水分量・ミネラルバランスを適切に保つこと自体は大事なことです。

熱中症では、体の水分が不足することで不調が出てくると言われていますが

こうした水分排泄能力の低い方たちは、体内での水分が不足しないため、水分補給(摂取)が熱中症対策になりません。
(こうした人は熱中症にならないのかと言われれば、身体が熱くなり過ぎるというだけで危険な不調は出てきます。熱中症では、脱水での不調を考える一方で体温が高くなりすぎることでの不調も考えておかなければなりません。)

それどころか、身体に水分を溜め込み、排泄出来ないということは、身体にその水分の分熱を溜め込めんでしまうということにもなります。

36℃で1リットルの水と36℃で10リットルの水、どちらが熱量が多いかと言うと、後者になります。
熱量と言うと物理学の用語になるため理解が難しくなるかもしれません。

では、1リットルのお湯と10リットルのお湯、どちらが冷めるのが早いでしょうか?
これは前者と感覚的に分かるかと思います。早く冷めるということは、それだけ抱えている熱が少ないということです。
たくさんの水分は、それだけ熱を保持できるということでもあります。

水は熱を蓄えることにも繋がる

つまり、身体に水分を保持しすぎると、かえって熱も抱え込むことになります。
特に水分排泄が適切に行えない方にとっては、この抱え込む熱の方が問題になります。

排尿や発汗が十分にたくさん出来る方については、水分摂取は熱中症対策になり得るかと思います。
失われる水分(塩分)以上に水分(塩分)を摂取すれば、理論的には熱中症になりません。
汗をかくほど熱は冷ましていけますし、排尿することでも熱を外に放出していけます。
(もちろん限界もあるかと思いますが。)

ただし、実際のところ


みんながみんな排尿や発汗が十分な方ではありません。

といろいろな方がいらっしゃいます。

水分が溜まりやすい人
水分が抜けやすい人

こうした方には水分摂取は熱中症対策になりえないのではないかと考えています。

水分を摂りすぎることでかえって体調を悪化させてしまうことも良くあります。
水分は摂れば摂るほど良いというものではなく、その方にあった形で適量を摂取する必要があります。
何についても過不足のない方が良い(中庸=ちゅうよう)という考え方です。

また、摂取した水分が体の中のどこで保持されていくのかというのも大事なことではあります。

説明が大変になりますので、別の機会にひとりごととして投稿出来ればと考えています。


熱中症という言葉が出始めたのは、2000年頃からかと思います。
その前は日射病や熱射病という言葉で呼ばれていました。

気温が年々上がってきていることは間違いないかと思います。
それに伴い、熱中症も増えてきました。

熱中症が増えてくる中で、当店に増えた相談は

の2点です。
後者は、熱中症対策として水分摂取をただひたすらに推奨しているメディアなどにも責任があると考えています。

国や医師も水分摂取を推奨しています。
この流れは止められないと思っています。

ただ、頭の片隅にはこの考えを残しておいても良いと思います。

水分・塩分を摂取していれば、熱中症は予防出来るのか?

という考えです。


熱中症は2つの事象に分けて考えた方が良いと思っています。

です。

特に1.体温上昇は水分摂取によって防ぐことは難しいです。

あり得るとすれば、水分摂取を積極的に行うことによる排尿・発汗での体温低下作用です。
ただこの場合、水分は排泄されることが前提で水分を摂るべきですし、気温・室温が高い環境ではこの排尿・発汗による体温低下作用では追い付かないと考えています。

上方で報道があったと述べた、熱中症対策をしていても熱中症になったというのは、こうした方々かと思っています。


2.体内水分不足に対しては、水分補給は対策になることでしょう。
ただし、排尿や発汗が上手く行えない方にとっては、そもそも水分不足に陥る可能性は低いです。

不要に水分を摂ることで身体が熱を保持してしまい、かえって1.体温上昇による体調不良を起こしてしまう可能性が出てきます。

つまり、誰でも彼でも水分補給をすれば熱中症を予防出来るということではないということです。

1.体温上昇が起こらなければ、不要な発汗はなく2.水分不足が起こる可能性は小さくできます。

そういった意味で、熱中症対策の一番重要なことは

になるかと思っています。


当店には、排尿や発汗といった水分排泄能力が低い方が

熱中症対策として水分摂取を心がけた結果、体調を崩してしまったという相談を良くいただきます。

心当たりがある方は、当店にご相談下さい。

熱中症になった後の体調不良についても、良くご相談いただいています。
こちらも治療を得意としています。いつでもご相談下さい。

熱中症対策には水分補給という考えは、全ての人に当てはまるものではないと考えています。
かえって体調を悪化させてしまっている方も多くいます。

この発信・投稿が少しでも多くの方に届きますように。

片田舎の漢方薬局のひとりごとでした。

ひとりごとにしては長すぎますね。
次回は短い投稿にしたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。