こんにちは。
自律神経失調症/パニック障害専門のせいゆう薬局です。(漢方薬専門店)
今回のひとりごとは
不妊治療で体調が悪くなる?
です。
不妊で悩まれている方が多いことは、昨今の報道などでもご存知の方は多いかと思います。
当店は自律神経失調症とパニック障害の専門店ですので、不妊を治療したいという相談はほぼありません。
ただ、体調不良を抱えている方が「不妊にも悩んでいる」という方は一定数いらっしゃいます。
そんな方々の治療を続けてきた結果、当店の考えている不妊治療の悩ましい現状を話していきたいと思います。
不妊治療の初期では卵子や精子の状況を確認したりとする前に、まずは自然な形での妊娠にトライしていくことが多いようです。
その際は、もちろん生理の周期を調節したり排卵を促すような薬が使われることはありません。
純粋にタイミングだけを測って妊娠に挑んでいくか、おまけのような扱いで漢方薬を用いられることが多いです。
この時に用いられる「漢方薬の選び方が適当問題」というものが存在します。
婦人科・産婦人科などの医師は、漢方薬のことをしっかりと勉強してきている訳ではありません。
不妊の時にはこれだよねと選んでいることがほとんどです。
「なんか良いって文献で読んだことあるし」
「漢方メーカーがこれが良いと言っていたし」
このくらいの感覚で漢方薬を選んでいる気がします。
その方の体質や状況を診て漢方薬を選んでいる方など皆無と言って良いでしょう。
こうした時に選ばれている漢方薬は、大きく間違ってはいません。治療の方向性はあっています。
しかし、この処方の選び方では、6~7割の人には合うかもしれませんが、残りの3~4割の人には漢方薬が合わず、かえって体調を崩してしまう可能性があります。
誤解されることがとても多いですが、漢方薬は安心・安全な薬ではありません。
その方に適している処方であれば、もちろん安全ですし効果もしっかりと期待が出来ます。
一方、合わない処方である場合、効果が出ないどころか体調が悪化することは普通にあります。この場合は安心できるような漢方薬とは言えません。
◎ポイント
漢方薬が病態・体質に合わなければ体調は悪化する。
病院で適切な漢方を処方してもらうことは難しい。
適切な処方を選ぶためには体調・体質を把握する必要があり、とても時間がかかります。
医師が1人の患者さんの診察に割ける時間は5~10分が当たり前です。診療時間3分も珍しくないです。(どれだけ診察時間を減らせるかを指南するようなアドバイザーが存在したりもします。)
病院では、そもそも漢方薬を適切に選べるような診療環境にありません。
したがって、たくさんの人の内、半数以上の人に合う漢方薬を選ぶという統計的な処理として選薬を行っています。
半数以上の人に合うようであればそれが正解、合わずに不調が出てしまった方たちは残念でしたという治療をしています。
ただ、漢方薬に理解のある人間から見ると全く残念な治療結果ではなく「その体質の方にその処方を飲ませたら当然体調が悪くなるよね」という当たり前の治療結果として受け止められます。
不妊治療をして体調がきつかったとお話いただくこともありますが、漢方薬での治療に限っていえば、それは処方の選薬ミスと考えて良いでしょう。本当に多いです。「何故その処方を出した?」という事案が。
妊娠をするために、妊娠を継続していくために、無事に出産していくために体調は良くしておくべきと考えられるのに、不妊治療・妊活のためにかえって体調を悪化させてしまうのは本末転倒です。
漢方薬で体調を整えていくことで妊娠に臨んでいくことは好ましいと考えています。
反対に漢方薬で無理やり妊娠させていくような治療は望ましくありません。
あくまでも漢方薬は体調を良くしていくために使用するもので、体調が良くなった結果、妊娠に繋がること(妊娠しやすい状態を目指すこと)を目的とするのが望ましいです。
妊活・不妊治療において病院から漢方薬が処方された時には注意をしておきましょう。
- あなたの体質に合わせた処方(体調を良くしていく処方)なのか
- 妊娠することだけを目的とした体質を無視した処方であるかです。
合わない漢方薬を服用して、仮に妊娠が出来たとしても、体調不良のまま妊娠を継続していくことは本当に大変です。日常生活もままならなかったり、最悪の場合は妊娠の継続が出来ないという可能性もあります。
漢方薬を服用して、体調が悪くなったという場合には、そのまま継続していくのかは適宜判断が必要です。
また、大前提として妊娠を望んでいる時、母体となる方の体調が悪い場合は、まず体調を良くしていくことが最優先事項と考えています。
体調が良い方が、妊娠出来る確率(排卵・受精・着床)は上がりますし、妊娠中の体調管理や胎児への血液供給などもスムーズです。
漢方治療は妊活・不妊治療の一環と考えても良いですし、体調管理の一環と考えても良いです。妊娠を希望する際には体調はしっかりと整えておきましょう。漢方薬はその手助けが出来るものです。
普段の体調がそもそも良い方は、漢方薬の服用で体調が悪化しないかはチェックしておくこと。
体調が悪くなった際には、治療を見直していきましょう。
◎ポイント
妊活・不妊治療中の漢方薬では、調子が悪くなっていないか確認すること。
女性ホルモン剤や人工授精などの場合
漢方服用以外の不妊治療でも、女性ホルモン剤(排卵誘発剤など)や採卵などによる体調不良は十分に考えられるものです。実際、身体への負担はかなり大きいです。
ただし、これ自体は避けられない、受け入れるべきリスクであると考えています。こうした治療を行わなければ妊娠、出産に辿り着けない方はどうしてもいらっしゃいます。
妊娠するために必要なことなのであれば、体調が悪くなってしまうからと避けることは難しいです。
もちろん、こうした西洋医学的な不妊治療でも体調を崩さないことに越したことはありませんが、まずは妊娠優先という選択になることはあると思っています。
女性ホルモン剤を服用して大きく体調を崩してしまう、採卵後に調子が悪くなる、そこも含めて不妊治療ということである程度は受け入れる必要があります。
体調が悪くなってしまうからと避けてしまうと、妊娠出来ないというリスクを負うことになります。
そこは妊娠優先で良いと思っています。
ただし、妊活や不妊治療に取り組んでいく前から体調不良があるとすれば、治療前もしくは治療と並行して体調は整えていくべきかとは考えています。その体調を整えていく一つの選択肢として、漢方治療を検討してみて下さい。
もちろん、何か漢方薬以外の方法でも体調を整えていけるとすれば、何でも良いと思っています。
妊娠するにも、妊娠を順調に継続するにも、体調を安定させておくことに越したことはありません。
体調不良がある方はぜひ取り組んでみて下さい。
◎ポイント
妊娠前でも妊娠中でも体調の良い状態を目指していくべき。
最後に
自律神経失調症専門の当店ですので、妊活・不妊での相談は多くはありません。ただ、妊活中、不妊治療前・中に、まずは体調を整えたいという方の相談は珍しくありません。
つい先日も「体調がだいぶ安定してきたので妊活を再開、無事に妊娠しました。」と嬉しいご報告をいただきました。(そこでこの投稿を思い立った訳です。)
この方はまだ完全に調子の良い状態には至っていませんので、そのまま服用・治療を続けていただいています。
漢方治療によって妊娠中にもさらに体調を良くしていけると考えています。
ただし、安定期に入るまでは油断は出来ません。このまま問題なく出産まで進めていければと願っているところです。
なお、当店でも毎年数人(多い年には十数人)は漢方治療中に妊娠のご報告をいただくことがあります。漢方薬服用中の妊娠には全く問題がありません。
妊娠を希望されている方・既に妊娠中の方も心配せずに漢方治療を検討してみて下さい。
さくっと短い文章にするつもりが、結果的にまた中文・長文になってしまいました。
長い文は読みにくいと分かっていますが、どうしても長くなります。次こそは短くコンパクトな「ひとりごと」を目指します。
最後までお読みいただきありがとうございました。