発病の経過と症状
ご相談いただいた症状は下記のものです。
外食をする際、動悸、吐き気、不安感が出る
ふわふわめまい
視点が合わなくなる
パニック発作
中学時代から頭痛は良く出る方だった。
発症は4年前。第一子出産後、外食をすると頭痛、吐き気、動悸が出てくるように。
第二子を産んだ1年後(今から1年前)くらいからは、ふわふわめまいが出てきた。この頃から視点が合わなくなる感覚も出てくる。
病院からはロラゼパム(抗不安薬)を処方されており、頓服で服用中。服用すればなんとか落ち着く。
半夏厚朴湯も処方され5ヶ月服用を続けているが良くなる様子はない。
特徴
ご相談いただいた症状以外の特徴は
1.微熱感、発赤しやすい、口内炎、緊張感が高い、舌先の痛み、ヒステリックなど 心身の興奮状態がしっかりと出ていました。
2.頭痛、寒がり、手足の冷え、疲れやすい、身体がだるい、日中眠い、目が疲れる、光が眩しい、頭重感など 頭部を中心に全身で血流が低下しています。
3.不安感、恐怖感、音が気になる、驚きやすい、パニックを起こしたことがあるなど 脳の過敏状態も出ています。
4.食欲はあり、美味しく食べられると胃腸に大きな乱れはありません。ただし、口臭、食後のだるさ・眠気、食事量が入らないなど、胃腸に興奮状態が見られます。
5.生理周期は32日と少し遅めではあるが順調な周期です。ただし、生理前緊張症候群(PMS)は強く出ています。
不調は緊張時と生理前に悪化することが多い。
家での食事に問題はないが、外食に行くと動悸、吐き気、不安感が急に出てくる。
外食自体を苦手に考えていたことはなく、特に緊張するようなこともない。
ただ、発症後からは苦手意識が明らかに出ている。
寝不足の時、二日酔いの時、疲れている時には症状が酷くなる傾向あり。
鉄サプリ、ビタミン剤、トリプトファンをサプリメントで摂取している。特に効果は感じられていない。
出産を機に不調が出てきているように見えますが、得られた情報から女性ホルモンが不調の原因になっている病態ではないと判断しました。症状を悪化させる一因にはなっているとは考えています。
出産は女性ホルモン分泌の大きく変わる転換期ですので、体調に大きく影響することはあります。
ただし、この方の場合は女性ホルモンよりも、産後の環境の変化がストレスになっていることが大きく影響していると判断しています。
外食をする時だけ不調が出てくる、特定の状況だけで不調が出てくる場合は精神的な緊張が症状を引き出すきっかけになっています。緊張感は関わっていると考えて良いです。
ただし、緊張感さえ抑えてあげれば良いかというとそうでもないので難しいところです。
この方の病態を分析していった結果、不調の原因は特定出来ましたので治療に入っていきます。
ちなみにこの方に病院から処方されていた「半夏厚朴湯」は、この方には合わない処方でした。
これは5ヶ月服用しても改善が見られていないことからも分かります。
病院の医師は、半夏厚朴湯を精神安定剤かのように処方したり、緊張時に喉の詰まりや吐き気があれば良く効くものと考えている方が多いです。
大きく間違っている訳ではありませんが、こうした対症療法的な漢方薬の出し方をすると合わないことの方が多いです。
この方にとっては不調を悪化させてしまうほど合わない処方ではありませんでしたが、半夏厚朴湯を服用すると会食時の吐き気が悪化する可能性がある方も居るので注意は必要です。
特に詳しい診断もされずに半夏厚朴湯を処方された場合には注意しておきましょう。これは漢方薬全般に言えることです。適した処方を選ぶには、詳しい病態・体質の把握が不可欠です。
治療経過
服用から1ヶ月
服用開始から5日ほど、肌荒れの悪化、不正出血、頭痛など不調が強くて心配した。
服用から3週間ほどの時期から嘘のように調子が良く、今まで出来なかった遠い所への運転、外食が出来た。偶然こんなことがあるのかな?と半信半疑。
嬉しくて予定を入れすぎ、数日前には久々に発作が出た。
久々なので落ち込んだが、疲れも出たのかなと考えている。
服用から2ヶ月
1ヶ月目に劇的な改善があったことに比べると、改善は停滞している。
1ヶ月目よりも調子が悪いことが多かったような気もしている。
服用から3ヶ月
また調子が良くなってきている。頓服(ロラゼパム)の服用頻度が減ってきた。
久々に近県にもお出かけ出来た。
まだ体調自体が悪い日もあるが、パニック発作が出てくることはなくなった。
頭痛や頭重感、吐き気などもだんだん良くなってくれるだろうか。
服用から4ヶ月
パニックを気にしない生活になり、楽になった。
苦手な外食にも何度か行けている。
頓服の服用頻度がかなり減った。心療内科に4ヶ月行っていない。(薬が余っている。)
服用から5ヶ月
子供の付き添い入院があったが問題なくクリア。
1ヶ月の内、2日ほどスッキリしない日はあるものの、出来ないことはほとんどなくなった。
外食時の不調もほぼ無し。
一番難しいと思っていた親知らず抜歯も出来た。嬉しい。
服用から6ヶ月
全体的に良好。めまいと耳の詰まりが最近出ている。
服用から7ヶ月
めまい、耳の詰まりは一時的なものだった。もう出ていない。
その後も改善が進み、仕事も遊びも余裕を持って楽しめている。
頓服を服用することもなくなっている。
服用から8~9ヶ月
調子の良い状態が続いている。このまま廃薬してみる。
その後、不調がぶり返したとの連絡は来ていません。体調良く生活されているのかと考えています。
考察
外食時に不調が出てくる方は少なくありません。
自宅での食事であれば問題ないが、外食となるととたんに不調が出てきます。
不調として多いのは、すぐに食べられなくなるという症状です。外食になると急に少食になり、普段の1/3も食べられない。次いで、吐き気、不安感、焦燥感、うつ感などが出てくる方もいらっしゃいます。
家族と一緒なら大丈夫、近場のお店なら大丈夫、いつもの店は大丈夫だが普段行かない店では不調が出るなども珍しくないです。
フードコートで食事が出来ないというご相談も多いです。
特定の状況下で不調が出てくる場合には、基本的には精神的な緊張が不調に影響しています。
ただし、精神的な緊張が大元の原因になっているのか、不調を引き出す引き金になっているだけなのかは人によって異なります。
緊張感さえ緩和していけば改善していく方もいれば、大元の原因をしっかりと治療していかなければ改善が見られない方もいらっしゃいます。
これらの違いを見分けることが重要です。当店では同様の症例をたくさん持っているため、どこを治療していけば良いのかの判断は得意としています。
この方の治療では、1ヶ月目に大きな改善が見られていました。回復力が強い方だったと考えています。
順調に改善を進めていくには当店がアドバイスする飲食の節制が大切になります。
2ヶ月目に多少の停滞やぶり返しがみられたのは、調子が良くなってきたことで飲食に乱れが出ていたのではないかと考えています。
改善点としてアドバイスを差し上げて以降は、また回復に転じていきました。
その後の経過は順調でした。
パニックやめまいなど、脳血流の低下症状も出ていましたが、こちらも順調に改善が進んでいきます。
PMS症状(生理前緊張症候群)も強く出ていましたが、治療を進めていくと共に落ち着いていきました。
特に女性ホルモンを整えていくような治療は行っていませんが、体調が安定すると自然と女性ホルモンも落ち着いていく経過は珍しくはありません。
当店では外食時の動悸、吐き気、不安などの不調をご相談いただくことは多く、治療は得意としています。比較的改善させやすい不調とも考えています。
会食で不調が出る、フードコートで食事が出来ないなども同系統の不調です。
もしこのような不調でお困りの方は、ご相談下さい。治療していけると考えています。
ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。