経験例74 傾眠・過眠、日中の眠気、落ち込み 50代女性 【 自律神経失調症の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

朝起きられない
傾眠・過眠(休日は12時間ほど寝る)
日中の眠気
落ち込み

発症は数ヶ月前。

昔から朝起きは悪かったが、特に起きれなくなっている。

日中の眠気も強く、酷い時には目を開けていられない。

休日には10~12時間ほど寝てしまう。それでもスッキリはしない。

抑うつ感や憂うつ感が強く、うつ病を疑っている。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.抑うつ感、憂うつ感、ため息が多いなど 脳の疲労が強く見られています。

2.頭痛、動悸、寒がり、手足が冷える、疲れやすい、身体がだるい、目が疲れる、頭がボーっとするなど 血流低下症状が強く出ています。特に頭部(脳)での血流の低下が顕著です。

3.不安感、驚きやすい、恐怖感、焦燥感、多夢、中途覚醒、音が気になるなど 脳の過敏状態はしっかり出ています。

4.食欲もあり、食べると美味しいとのことで胃腸機能には問題ありません。

5.女性ホルモン:既に閉経されています。閉経から4年経過。

傾眠・過眠、起きれない、眠気という症状は、脳での血流低下による症状です。
頭部での血流は顕著です。

脳血流が低下すると脳は過敏な状態に陥ります。不安感や恐怖感などの精神過敏症状もしっかりと出ていました。

更年期は閉経の前後5年とされています。この方の場合、閉経から4年経ったタイミングでの発症ですので、女性ホルモンは不調には影響していないと考えました。更年期の症状として出てくるとすれば、もっと早くから発症していたと考えられます。最低でも閉経後すぐ、もしくは閉経数年前からの発症であれば、更年期による不調を疑っても良いかと思います。

この方の血流を低下させている原因は簡単に特定出来ました。原因治療に最適な漢方薬を選び、服用を開始していきます。

血流が良くなっていくと訴えておられる不快な症状は改善していくと予想しています。


治療経過

服用から1ヶ月

特に何も変化を感じない。

服用から2ヶ月

2ヶ月目の後半あたりから、朝の目覚めが少し楽な日が出てきた。

ただ、これが漢方薬の効果なのかは半信半疑。

朝起きは楽になってきているが、日中の眠気には変わりはなし。会議中の眠気が強い。

会議中の眠気は、以前から強い。

服用から3ヶ月

朝の目覚めが安定してきた。目覚ましが鳴る前に目が覚めるように。

ただし、会議中の眠気はまだ変わりなし。

服用から4ヶ月

このところ早起きに。多少、早朝覚醒気味だがスッキリと起きられる。寝不足感はなし。

日中、時々眠くなるが以前ほどの眠気は出てこない。

服用から5~6ヶ月

体調全体として安定。寝起きも良い状態を維持している。

早朝覚醒気味だったが、睡眠時間が少し伸びた。起きる時はスッキリ。

ただ、日中の会議ではまだ眠たくなることあり。以前よりは良い状態。

服用から7ヶ月

生活環境、パターンが変わり、身体的な疲労が溜まっている感覚あり。

そのためか日中の会議の眠気がどうしても出てしまう。

朝起き、早起きは問題なく出来る。

会議中の眠気がちゃんと改善するのか不安。漢方治療をいつまで続けるか悩んでいる。

服用から8~9ヶ月

服用から10ヶ月

2ヶ月ほど調子の良い状態が続いている。会議中の眠気も大丈夫になっている。

このままさらに1ヶ月良い状態が続くようであれば、廃薬してみたい。

服用から11ヶ月

調子の良い状態が続いたとのことで、廃薬となりました。


考察

主訴である過眠、傾眠傾向は、脳血流の低下による症状です。

脳での血流が低下すると脳は「身体が疲労を起こしている。寝て回復をするべき。」と判断し、眠気を催します。

夜に出てくる眠気は、正常な反応であると判断出来ますが、日中に出てくる眠気は脳血流の低下による症状と考えていきます。
夜に眠れないこと(不眠)の影響から日中に眠気が出てくることもありますが、こちらも同様に脳血流低下症状です。夜(就寝中)の体力回復が十分に行えていないため、日中に血流が低下した状態にあると考えていきます。もちろん、この場合は不眠を治療していくことが優先です。

この方は夜はしっかりと眠れていますが、それでも日中眠い。どれだけ寝ても眠いというご相談でした。

朝起きられないという症状も血流の低下による症状です。脳での血流が悪いと脳はなかなか覚醒することが出来ません。また、身体での血流が悪いと身体が重く・だるく、なかなか起き上がることも出来ません。
したがって、朝起きられない、日中の眠気が強い時には総じて血流の悪い状態にあると考えていきます。

血流が低下している原因はすぐに特定できましたので、治療は比較的順調でした。途中で処方を調節していますが、改善を早めていくための微調整でした。治療の方向性は変更していません。


もう1つの症状として、「落ち込み」というものがありました。

落ち込みは、抑うつ系の精神症状と考えていきます。脳が疲労を起こしてしまった時に出てくる症状です。
基本的にはストレスや緊張が高く、緊張状態・興奮状態が続いた時に脳は疲労を起こします。

対処法は、脳を疲れさせないようにしていくこと。大元の緊張・興奮状態を抑えていくことになります。

処方の中に、こうした緊張・興奮を抑えていく生薬を配合しておきました。少しずつ効果が現れ、半年を過ぎたあたりからは落ち込みについての経過報告はありませんでした。
緊張状態が緩和され、脳が疲労を起こすことがなくなっていったのかと思います。


今回は傾眠、過眠、日中の眠気、朝起きられないという脳血流低下による症状がメインのお客様でした。

血流が低下している原因を突き止め、治療をしていった結果、順調に回復していきました。

重要なのは、出てきている症状の原因が何かを突き止めること。そして、その原因を改善していくための処方を適切に選べるかです。

傾眠、過眠、日中の眠気などは脳血流が低下していることが原因です。そこからさらに、脳血流が低下している原因まで突き止めて治療を行います。

訴えられている症状を分類、分析していくことが大事です。そして、その分析に従って治療経験を積み重ねていくと、適した治療法が確立されていきます。

治療経験は35年に亘ります。いろいろな病態・症例を治療した経験を持っているからこそ、適切な治療を選べるようになってきました。
それほど難しい治療ではないと考えています。

過眠、傾眠、日中の眠気という不調でお悩みの方、ぜひ一度ご相談下さい。



ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。