発病の経過と症状
ご相談いただいた症状は下記のものです。
神経過敏
閉鎖空間が苦手
思考がぐるぐる巡る
音・声が気になる
息苦しい
恐怖感
不安感
イライラ
緊張感が強い
頭痛
早朝覚醒
不調が始まったのは12年ほど前。20代後半。
閉所空間でパニック発作を起こし、その後神経過敏状態がずっと続いている。
一時、予期不安が強く出ていたが、今はそこまで感じていない。
主な不調としては、息苦しさが出たり、思考の巡る感覚が出てくると、その他の不調も付随して出てくる感じ。
現状、西洋薬での治療は行っていない。漢方薬(半夏厚朴湯/乙字湯)を服用しているが効果は感じられていない。
特徴
ご相談いただいた症状以外の特徴は
1.体のほてり、のぼせ、目の充血、口腔内の炎症、イライラ、多怒など 心身の興奮状態がしっかりと出ています。
2.頭痛、寒がり、足が冷える、目が疲れる、光が眩しい、頭がボーっとする、立ちくらみなど 血流が低下している状態。全身での血流が悪いというよりも、脳を含めた頭部での血流の低下が顕著です。
3.不安感、恐怖感、焦燥感、眠りが浅い、音が気になるなど 脳の過敏状態が出ている
4.食欲もあり胃腸は一見問題ありませんが、1日2~4回の便通がある。胸やけや吐き気などの症状もあり、胃腸も多少興奮状態にあると判断しました。
良く摂取している嗜好品として「コーヒー、プロテイン、サプリメント類」などがありました。
ここ最近は、精神神経症状にプロテイン(アミノ酸なども含む)の摂取が良いとの情報があるようで、プロテインを摂取している方が増えています。
そんな中でも当店にご相談いただくことが多いということは、少なくとも全ての方にとってプロテイン摂取で調子が良くなる訳ではないと言えます。プロテインは胃腸の状態によっては、摂取することでかえって体調を悪化させる可能性があるので、注意が必要と考えています。
最低限、誰でもプロテインを飲めば良くなるものではないと認識しておくと良いかと思っています。そして、人によってはさらに調子を崩す可能性があることも知っておくと良いでしょう。
不調が悪化する要因としては、起床時、緊張時、閉鎖空間に入った時という情報があります。
起床時から午前中にかけて調子が悪いが、午後・夕方あたりからは少し体調が落ち着いてくるという経過がありました。
以上のような不調の出方からも原因を分析していけます。
不調の状態を細かく把握したところで分析していくと、この方の不調の原因が特定出来ました。この原因部分を治療するための適切な漢方薬を選び、服用を開始していきます。
治療経過
服用から1ヶ月
喉の詰まる感覚や息苦しさが軽減されてきている。早朝覚醒と思考が巡る感覚が続いていたものが、減ってきている。不安感も減ってきた。
まだ急な恐怖感は多い。突然の興奮する感覚もまだあり。
服用から2ヶ月
1ヶ月目に回復した状態からあまり変わりがない。
服用から3ヶ月
明らかな改善が進んでいる。神経が昂る感覚が減っている。
身体症状はほとんどなくなった。神経過敏症状(音や声が気になる/恐怖感/不安感/閉鎖空間が苦手/早朝覚醒など)も治療前よりもだいぶ楽に。
このまま良くなっていくだろうなという安心感がある。症状が出たとしてもあまり気にならない。
服用から6ヶ月
調子の良い状態が続いている。
時々、ふと恐怖感のような感覚が出てくることはあるが、日常生活に支障が出るようなものではない。
この症状が出なくなると気になる不調はなくなるかな。
当店:まだ万全の状態ではないため、現在(7ヶ月目)も治療を継続しています。あと数ヶ月もあれば廃薬の流れになるかと考えています。
考察
脳での血流が低下すると脳は過敏な状態に陥っていきます。
1つの考えがどんどん増幅されていくということが特徴です。
「思考がぐるぐる巡る」というのも脳過敏症状に特徴的な症状と言えるものです。
他にも「不安感、恐怖感、焦燥感、驚きやすい、音・声が気になる、パニック、多夢、眠りが浅い、中途覚醒、早朝覚醒」なども脳過敏症状です。
この「恐怖感」という症状の中で、何に恐怖を感じるかで「広場恐怖」「乗り物恐怖」「外出恐怖」「人混み恐怖」「会食恐怖」「運転恐怖」「トンネル恐怖」「風音恐怖」「閉鎖恐怖」「高所恐怖」など細かく分類されていきます。
ただし、治療していく上では、「何に恐怖を感じるか」は特に気にしていません。原因部分にあるのは、何に対して感じる恐怖でも脳の過敏状態であり、この過敏な状態を鎮めてあげると恐怖感は軽減していくためです。何に恐怖を感じているかで治療が変わることはないということでもあります。
この方は発症から12年ほどと比較的長く不調が継続していました。
12年続く不調が1~2ヶ月で軽減し、半年ほどでほぼ楽な状態になっています。
この治療経過は当店でも改善の早い部類に入るかと考えています。
もちろん、一般的にも発症から間もない方が改善が早いことは多いのですが、長く不調が続いているからと時間が必要な訳でもないと改めて実感出来る症例です。
不調が長く続く方でも諦めずに治療を試みていただきたいと考えています。
似たような症状のご相談をお待ちしております。
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