経験例54 過敏性腸症候群 緊張で下痢・軟便 30代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

過敏性腸症候群
緊張すると下痢・軟便
外食・会食で食事が入らない
食事は美味しいが少し食べると入らなくなる
生理前・排卵期に下腹が張る

過敏性腸症候群のご相談でした。発症は10年ほど前。

過敏性腸症候群で悩まれている方は多いですが、漢方薬での治療が大変有効な疾患です。

ただし、「過敏性腸症候群にはこの処方」という漢方薬がある訳ではなく、その方の体質や状態に合わせての選薬が必要になります。

ネット上には過敏性腸症候群にはこの処方をというような記載も見かけますが、体質に合わないと効果がないどころか、かえって悪化させる可能性もあります。注意して下さい。

当店では、自律神経失調症を専門としていますが、自律神経失調症状とともに過敏性腸症候群の症状を併発されている方も多く取り扱います。
過敏性腸症候群は、特に問題なく治療していける疾患と考えています。

この方のように過敏性腸症候群だけでの相談は稀なのですが、ご家族の方を治療したご縁で相談いただきました。

過敏性腸症候群の治療自体は7ヶ月ほどで終了しています。その後は女性ホルモンを整える治療に移行しているため、過敏性腸症候群の治療例として参考になるのは7ヶ月目あたりまでかと思います。ご了承ください。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.お腹は空いて美味しく食べられる、便通も基本的には普通便、ただし食事量はあまり入らないなど 胃腸自体が大きく乱れている訳ではない

2.胃腸の不快な症状は基本的に緊張時・会食時に限られる 精神的緊張が大きく関係している

3.頭痛、疲れやすい、足が冷える、体がだるいなど 血流の低下は見られる

4.緊張感は高いが 心身の興奮状態はそれほど強くない

血流低下症状が少なく典型的な自律神経失調症ではありませんが、病状が進行していくことでさらに血流が乱れる可能性はあります。

過敏性腸症候群を放置して、自律神経失調症を発症される方は多いものです。

精神的な緊張を鎮め、それに伴う腸管の痙攣や収縮を緩和させていく治療が必要と判断しました。

また、生理前・排卵期にも下腹の張りが出ることから、女性ホルモンにも配慮した処方を選びました。


治療経過

服用から1ヶ月

この1ヶ月、外食をしていないから分からないが自宅では食事量が入るようになってきた。

生理前の下腹の張りは変わらない。

服用から2ヶ月

1度、外食をしてみた。量は入らなかったが、お腹は張らなかった。ただし、その日の夜は下痢をした。

今回は生理前の不調が前回よりもきつかった。不調が強くなっているようで不安。

ただ、2週間前から祖母の看病を始めたことで精神的な緊張は高まっている。この影響もあるのかもしれない。

服用から3ヶ月

食事をすると胃や腸が張るという症状は、ほとんどなくなった。

ただ、今月は外食をしていないので、外食時にどうなるかはまだ不明。

排卵期から便秘→水様便→便秘を繰り返している感じ。少し不安。

今回の生理は不調は少なく、体のだるさが出なかった。

服用から4ヶ月

外食をしたが少な目だったこともあってかお腹が張ることはなかった。その後の下痢もなし。

排卵期から生理までの便は、固い便と軟便を繰り返す感じ。以前は、便秘と水様便の繰り返しだったので改善してきているように思う。

今回の生理前でも強い不調はなかった。排卵期の下腹の張りはもうだいぶ楽になっている。

服用から5ヶ月

家でも実家でも過敏性腸症候群の症状は全く出てこなくなった。

外食でも胃と下痢の症状は出てこない。ただ、腸が動く感覚はあり、食事をすると便意は出てくる。それでも下痢をすることがなくなったのは嬉しい。

排卵期の便は少し固かったが、その後は普通便に。明らかに便通は改善してきている。

排卵期の下腹の張りは出てこなかった。

服用から6ヶ月

外食を3回したが大丈夫だった。排卵期の便の固さも今回はなし。

ただ、たまに気分が悪くなるようなことがあった。

お話を聞いていくと、食事を摂れるようになった嬉しさから食べ過ぎの傾向があったようです。

服用から7ヶ月

外食は問題ない。腹痛・下痢・軟便は出てこなくなった。

低温期が長く、高温期が短いことが気になる。生理に関係する不調が特に出ている訳ではないが、周期が気になるだけ。

過敏性腸症候群の治療はほぼ完了しているため、ここから処方の配合を少し調節して女性ホルモンを整えていく目的を大きくしました。

過敏性腸症候群の症例だけをご覧になりたい方は、このまま考察にお進み下さい。

服用から8ヶ月

外食で食事が摂れなかった。朝からあまり体調が良くなかったのに行ったのが悪かったか。

精神的に強いストレスがかかった直後だったので、少し軟便気味ではあった。

一過性のストレスとのことで自然に治癒していくと判断。特に対処はしないことにしました。

高温期は少し伸びた。

服用から9ヶ月

高温期が伸びた分、生理周期自体も長くなっている。今回で40日ほど。

何か不調がある訳ではないが、周期が安定しないのは心配。

胃腸症状は特に気にならない。

服用から10ヶ月

生理周期は34日に。安定してきた。

服用から11~20ヶ月

14ヶ月目までは生理周期28~33日を行ったり来たり。一度、強いストレスからか生理が1度飛ぶこともあった。

15ヶ月目からは28日周期で安定し、高温期・低温期の周期も問題ない。

胃腸は絶好調とのことで、体調は十分に安定しました。

ここで廃薬となりました。


考察

10年間、過敏性腸症候群で悩まれていた方でした。緊張感が強く、それが胃腸に強く反映される病態です。

緊張時に腹痛・下痢・軟便などが起こることが多いのが過敏性腸症候群ですが

この方の場合は、外食・会食という普通に考えると緊張とは無縁の状況で症状が出てくる方でした。

自宅の食事では、お腹も空くし、美味しく食べられる状態でしたが、すぐにお腹が膨れて食べられなくなってしまう状態です。
自宅ではほぼ緊張などないはずですが、おそらく食事をすること自体に緊張を感じるようになってしまったものと考えられます。(食事をすると症状が出るのではないか?という緊張)

・1ヶ月目からは、自宅での不調がまずは軽減
・4ヶ月目からは外食での腹痛、下痢がなくなる。
・7ヶ月目で外食しても胃腸に不具合が出ることがなくなる。

過敏性腸症候群については、この段階でほぼ治療は終了となります。

以降は、過敏性腸症候群になりやすいという体質的な部分をケアしながら女性ホルモンを整える治療に入っていきました。

過敏性腸症候群と自律神経失調症は厳密に言えば違う疾患です。

ただ、過敏性腸症候群から発展して自律神経失調症を発症される方は多く、自律神経失調症の治療には過敏性腸症候群の治療を含むことがたくさんあります。

当店では過敏性腸症候群の治療経験も豊富に持っています。

過敏性腸症候群だけでお悩みの方はもちろん、過敏性腸症候群だけではなく自律神経失調症を併発された方もぜひご相談下さい。


ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。