経験例50 ふらつき、目の奥の圧迫感、息切れ 40代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

ふらつき
目の奥の圧迫感
ドライアイ
目の疲れ
焦燥感
不安感
動悸
息切れ
めまい
肩と首のコリ

・職場のストレス、過労で悪化
・生理から2週間後位(排卵期)で悪くなることもある

発症は1年ほど前。

ふらつき、めまいが強くほとんど外出が出来ない。

病院からは「加味逍遥散(カミショウヨウサン)」を処方され半年ほど服用。
効果は感じられなかった。( #考察2


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.微熱感、ほてり、のぼせなど 体の興奮状態は強い

2.起立性調節障害、目が疲れる、目が乾燥する、光が眩しい、目がしょぼつく、立ちくらみ、頭がボーっとする、めまい、ふらつきなど 頭部(脳)での血流の低下が顕著

3.夢が多く、焦燥感(そわそわ感)、不安感、眠りが浅いなど 脳の過敏状態も強い。

4.お腹が空いて美味しく食べれる 胃腸の乱れはない

5.手足の冷え、疲れやすい、体がだるい、足が攣る、朝起きが悪い、肩首背中のこりなど 全身での血流も強く低下している

6.生理周期は25日と短めではあるが周期は安定し順調。 生理前に若干の不調はあるようだが 女性ホルモンが強く乱れているとまでは言えない。

「ふらつき、目の奥の圧迫感、ドライアイ、目の疲れ、めまい」は頭部(脳)での血流の低下による症状。

「動悸、息切れ、肩首のこり」は身体での血流の低下によるもの。

「不安感、焦燥感」は脳の過敏状態による症状。

血流の低下を改善していくことで、全ての症状が消えていくと判断しました。

ただし、血流を低下させている明確な原因は見つからず、これまでの治療経験からデータを補足し、原因をほぼ特定して治療に入りました。

胃腸が乱れている訳ではないが、飲食は乱れているので念のため飲食についても指導。飲食が適切である方が改善は早いと考えています。


治療経過

服用から半月後

目の奥の圧迫感、ドライアイ、めまい、ふらつきが幾分和らいだ気がする。

飲食のアドバイスに従っているからか、アルコールや間食が減っている。欲していたはずが、特に要らないと思うようになった。

服用から1ヶ月

まだ不快な症状は多いものの、少しずつ軽減してきている。

体調の良い日は、無理のない程度に近所を散歩出来るようになった。

服用から1ヶ月半

ここ最近、また不調が出るように。

以前は目が疲れて出来なかったが、最近スマホで求人を探すようになった。目を使い過ぎているのかもしれない。

服用から2ヶ月

生理後2週間(排卵期)、午前中から昼にかけ不調が出た。

まだ、そこまで体調は安定していない とお答えした。

それ以外は比較的安定してきているように思う。

服用から2ヶ月半

顔の吹き出物が出来にくくなり、手がすべすべになった。

手荒れや吹き出物など炎症が強く皮膚科に行っていたのだが改善せず。これが良くなるとは思わなかった。

寒い日が続き、いつもなら風邪を引きそうなものだが風邪を引かない。これも漢方薬の効果なのか?

あとは不安感と焦燥感が軽減していってくれれば助かる。

服用から3ヶ月

普段の生活はわりと穏やかに過ごせているが、生理前後と排卵期に体調が乱れるようになってきた。

残っている症状は、焦燥感・不安感・動悸・息切れ。これらの症状も少しずつ小さくなってきている。

服用から4ヶ月

仕事を始めた。短時間の仕事なので、今の状態でも続けられると考えた。

残っていた症状も軽減してきている。

服用から5~6ヶ月

仕事にも慣れ、片道自転車で10分の通勤も苦ではない。たまに20分ほどかけて歩くことも。

排卵期の不調だけまだ少し残っている。

服用から7~12ヶ月

体調の波はほとんどなくなり、排卵期の不調もほぼない。完治まであと少し。

服用から13ヶ月

完治した状態。

ただ、仕事を掛け持ちするようになるなど環境の変化はあり。

体調を維持するために、服用を続けておきたい。何より服用していると安心感がある。

服用から14~45ヶ月

体調が良い状態が続く。

この間に更年期に入ったが更年期症状が出てくることがない。漢方薬を飲んでいるおかげだと思っている。

体調にも自信が出てきた。そろそろ止めても大丈夫かなと思っている。

ここで廃薬となりました。


考察

実際の治療期間はおよそ1年。その後は体調管理の一環として3年ほど服用を続けられました。

漢方薬は体質改善薬であり、体調を維持管理するのに適したお薬でもあります。

血流を良い状態で維持出来ることもあり、各種病気への予防効果も期待できます。

体調の良い状態でも服用を続けていらっしゃる方は当店でも少なくありません。
皆さん、病気になりにくい、多少無理をしても体調を崩さない、不調が出てもすぐに回復するなど 良い効果をお知らせ下さいます。

この方に差し上げていた処方は、更年期用(女性ホルモンを整える)の処方ではありませんでしたが、更年期による不調も出てこなかったようです。

元々の体質的には更年期障害が出やすいタイプであったと考えていますが、体質を改善していたことが功を奏したものと考えています。


この方の治療では、原因を確定出来た訳ではありませんでした。少ない症状(ヒント)を頼りに、過去の膨大な治療経験と照らし合わせて処方を決めました。

結果は早期からの改善。原因の判断とそれに対する処方が的確だったことが証明されました。

自律神経失調症では頭部での血流の低下は起こりやすいです。
ふらつき、目の奥の違和感、目の疲れ、めまいなどは、良く相談いただく症状です。

西洋医学には頭部の血流を良くする薬はありません。
(厳密に言えばあるのですが、少なくとも自律神経失調症で出てくる血流低下症状には効果は期待出来ないようです。
また西洋医学では、ふらつきやめまいなどをそもそも血流低下症状とは考えていないため、これらの症状に対し血流を良くしようという治療がされることもありません。)

漢方薬には頭部を含め、血流を良くする様々な処方が存在しています。

数ある処方の中から、その方の血流の低下の原因を治療出来る処方を選べることが当店の自律神経失調症専門と言える所以になります。

一般的に血流を良くすると言われる処方でも、体質(証)に合わなければ体調がさらに悪化する可能性があるので注意して下さい。
漢方薬を適切に選ぶには専門的な知識が必要です。

漢方薬を服用しても改善しない、ましてや悪化するようなことがあれば、それは適切な処方を選べていないためです。

当店は自律神経失調症(パニック障害)を専門的に扱う漢方薬局です。

自律神経失調症/パニック障害でお悩みの方のお力になれると自負しています。

ぜひご相談下さい。


ご相談は無料です。下記のリンクからご相談下さい。

考察2

病院では加味逍遥散が処方されました。何故、この処方が出されたのかは不明です。
考えられるとすれば、「排卵期(生理後2週間目)に悪くなることがある」というこの一点でしょうか。

もちろん生理(女性ホルモン)の乱れから、ふらつきやめまいなどの症状が出てくることはあります。

ですが、排卵期以外にも不調があることに説明は付きません。
基本的に生理(女性ホルモン)の乱れによる不調は、周期性を持ち、良い状態と悪い状態が交互に訪れます。

この方は普段からの体調が悪く、排卵期に “不調が強くなることがある” 程度です。直接的に女性ホルモンが不調の原因になっている可能性は低いと言えます。

当店の治療でも、もちろん生理以外の部分を整えていくことで治療していきました。

加味逍遥散の処方意図は不明でしたが、半年ほど服用しても改善しなかったことから、この方にとっては合わなかったということは間違いありません。