経験例46 不登校、吐き気、やる気の低下、体力低下 10代 男性 【 自律神経失調症の治し方 】


発病の経過と症状

ご相談いただいた症状は下記のものです。

不登校
吐き気
やる気の低下
体力低下

・食後と空腹時に軽い吐き気
・笑うと軽い吐き気
・ストレスがあると強い吐き気
・運動をすると強い吐き気

1年程前から吐き気が強くなり学校に行けなくなった。

受験後、入学し1週間ほどは元気に通学した。入学後すぐの学校行事以降、吐き気で登校出来なくなりそのまま留年。
吐き気さえなければ学校に行きたいと思っている。

小学生の頃から吐き気で休むことは1年に1度ほどあった。
中学2年あたりから軽い吐き気が続くようになり、3年生の時には強い吐き気に。

3軒の心療内科に通うも吐き気は治らず。
精神的なものなので、自分自身と向き合っていくしかないと言われた。
この件に関する考察は 考察2 に記載しました。


特徴

ご相談いただいた症状以外の特徴は

1.食事は美味しく食べられる。ただし、食後に吐き気。胃腸は乱れているが激しく乱れている様子ではない。

2.疲れやすい、朝体がだるい、日中眠い、足がつる など血流は低下している。ただし、著しい血流の乱れは見られない。

3.夢を見ることが多く、眠りも浅い。 脳は少し過敏だが、不安感など強い精神症状は出ていなかった。

出てきている症状・不調が少なく、原因の特定は難しいものでした。これまでの治療経験を考慮して、原因を推測し治療に入りました。

飲食に乱れはないとのことで、ひとまず食事の養生は軽いものに。


治療経過

経過のご報告はお母様からいただいています。

服用から1ヶ月

変化なし。とりあえず続けてみる。

服用から1ヶ月半

朝から吐き気を強く感じるように。飲み込みにくい感覚がある。食欲も一気に低下。

それまでは食欲があり、普通に食べていた。特に悪いものは食べていないし、飲み物も悪いものは飲んでいない。

お話をお聞きすると年末年始、誕生日などが重なりいつもと違う食事をすることが多かったことが判明。
普段食べているものも、栄養はあるが胃腸には負担のかかるものでした。

栄養があるもの・バランスの取れた食事=体に良いもの と考えていたようです。
その後は、飲食についても少しアドバイスをしていくことに。

服用から2~3ヶ月

依然として吐き気に変化はない。
運動したり、話すだけでも吐き気が出てくる。
煎餅を少し食べると吐き気が少し落ち着く。

経過と状況から日常の食生活でさえ、吐き気を引き出すほどの負荷になっていると考え、普通食は中止、徹底した飲食の節制をお願いすることに。

栄養が不足するのではとお母様は心配されたが、変化がないようであれば普通食に戻しても良いという条件で納得していただいた。

服用から4ヶ月

飲食の節制を続けていると1週間ほどで強い吐き気が減ってきた気がする。

ただし、緊張するような場面があったり、起床時であったり、入浴すると吐き気が出るなど、まだまだの状態。

特に緊張する場面があると一気に食欲まで落ちてしまう。

漢方薬の服用と飲食の節制だけでは改善に時間がかかってしまうと判断。
そこで西洋医学のお薬(胃腸薬)との併用を勧めた。( 考察 にて解説)

服用から5~6ヶ月

勧められた薬を併用すると、朝食時吐き気が出ることには変わりないが、吐き気のある時間がだいぶ短くなった。楽になったとのこと。

どういった飲食をすると吐き気が強くなるのか、少しずつ分かってきた。
反対にどういった飲食であれば、翌日が楽になるのかも少しずつ理解出来てきた。

服用から7ヶ月

少しずつ回復に向かってきた。

食べている食事内容・量では栄養が少ないと感じ心配したが、体重はほとんど変わっていない。見た目にも変化なし。

体も動かしやすくなったようで、筋トレを始めたとのこと。

たまの外出時に異常なほどの緊張を見せる。外出前に異様な緊張。外出してしまえばそうでもないようだ。

服用から8~9ヶ月

少しずつの軽減。調子が上向いてきたので併用していた西洋医学の薬(胃腸薬)を中止している。そうした中では順調なのかなと考えている。

外出は用事がある時のみ。虫歯が見つかったが、口に器具をいれると吐き気が出る。全身麻酔下での治療も検討している。

服用から10~11ヶ月

少しずつ前進。

虫歯治療のために緊張しながら歯科外来に。
治療は笑気ガスを使って行われた。無事に終了。

筋トレは毎日続いている。運動やトレーニングでの吐き気はない。

服用から12ヶ月

調子が良かったが、飲み物を喉に詰まらせたことで食欲が低下、体調も不良。

これ以降、少し乱れ気味だった飲食の節制も徹底していくことにした。

服用から13~14ヶ月

ここ最近は変化が出てきた。

昨年の今頃は、えずきが出るとその後不調が続いていた。今はえずきはするが一度えずいてしまうと、その後スッキリとする。症状が出ることに変わりはないが、良い変化だと感じている。

これまで昼夜が完全に逆転していたが、少しずつ昼間に起きていることが増えてきている。

このまま回復してくれればと願っている。

服用から15ヶ月

昼夜逆転生活が改善してきた。

相変わらず外出はしていないが「髪が伸びたので切りにいきたい。もう少し体調が良くなったら行きたい」と前向きな発言があり、嬉しかった。

服用から16ヶ月

悪くなることはなく比較的安定して生活出来ている。

相変わらず外出はしていないが、家の中では元気にしている。

起床時の吐き気はなくなっているが、胃がチクチクするような感覚はあるとのこと。吐き気ではなく、胃の違和感程度の様子。

吐き気を紛らわすために煎餅を食べていたが、いつのまにか食べなくなっている。そもそもの吐き気が減っているのだと思う。

服用から17ヶ月

大きな変化はなかった。3日ほど強い吐き気が出てくることがあったが、食事に気を付けるとすぐに鎮まった。少し良くなると食べ過ぎてしまう傾向がある。

以前は家の中でも体調が悪く、ソファで横になるだけだったが、今では普通に生活している。
食後なかなか動けなかったが、動けるようにもなっている。

吐き気が出る日が少なくなった。吐き気だけではなく体調全体が安定してきたように感じている。

服用から18~20ヶ月

特に体調を崩すようなことはなく、安定していた。

目的地を決めずにだったがドライブにも行けた。外出に慣らしていきたい。

この間に、また1年留年することが決まった。

服用から21~25ヶ月

散髪に行けた。店員さんや他のお客さんが居る中、1時間近くだったが具合は悪くならなかった。
コンビニにも行け、外出にも少しずつ自信が付いてきている。
歯医者にも行き、今回は笑気ガスを使わずに治療が出来た。

本人としては、まだ外出が満足に出来ない状況のため、高卒認定を受けると決めたよう。
目標を持って勉強を始めたところ。

吐き気もなく体調は良いので、あとはこのまま外出の訓練を続けていくことに。

漢方治療はここで終了となりました。


考察

治療期間は約2年となりました。特に始めの1年ほどは改善がゆっくりとしたものになりましたが、これには理由があります。

吐き気が強すぎて、1日3回の服用が出来なかったのです。
服用量の経過は下記の通りです。

1~4ヶ月目:1日1回(1/2回量)
5~10ヶ月目:1日1回(通常量)
11~13ヶ月目:1日2回
14ヶ月目~:1日3回

当店の漢方薬は1日3回服用していただいてやっと効果の出るものです。まずは1日3回の服用が出来るようになるまで、微量の漢方薬、食事指導、西洋医学の薬で時間をかけて胃腸を整えていくことになりました。


当初、飲食については親御さんにお任せしましたが、治療を開始して、しばらくすると症状が悪化することがあり、飲食の状況について確認。

管理栄養士であるお母様がおこなっていたのは、栄養管理であり、乱れた胃腸を整えていくようなものではないことが分かりました。「食事の管理については任せて欲しい」と言われるままにお任せしてしまった点を当店は反省しなければなりません。

胃腸が乱れている方に必要なのは栄養管理ではなく、胃腸が乱れた方用の専門的な食養生であると改めて確認したところです。当店の指導による飲食に変更していただきました。

それでも1日1回の服用では思うような回復が見えず、より徹底した飲食の養生に移行していきます。

少しずつ症状に落ち着きが見えてくるのですが、それでも何かあれば症状が悪化する状態が続いたため、西洋薬の力を借りることしました。

これ以降、緩やかな改善が現れるようになります。少しずつ胃腸が整い、吐き気も軽減していきました。1日2回、3回と服用が出来るようになってからは、さらに順調に胃腸が整っていきます。
3回の服用になって4~5ヶ月で吐き気はほぼ改善していきました。

それ以降は、体調も落ち着き、家では元気に過ごせる状態が続くように。
あとは外出が出来るようになれば、通常の生活が取り戻せるという状態までこぎ着けました。

ここで当店の治療は終了ということになりました。


この方も、不登校の期間が長く続いたことで、通学自体を諦めることになりました。不登校自体を解決(治療)出来た訳ではありません。

治療の開始は出来れば不登校になる前、体調が悪い中でもなんとか登校出来ている内に始めましょう。
せめて登校出来なくなったら、早めに体調不良だけでも治してあげたいものです。改善が早いほどに再登校への負担が小さくなります。

お子様の体調不良、不登校などにお悩みの方、ぜひご相談下さい。


考察2

なお、病院・心療内科の診断では「吐き気は精神的なもの」として片付けられたようですが、実際は身体機能(胃腸機能)の乱れから出ているものでした。

心療内科による投薬治療では改善しませんでしたし、当店での治療は胃腸を整えるという身体的な治療でした。

そもそも精神的な疾患であるのに、笑うと吐き気・運動で吐き気・食後に吐き気などの症状が出てくるとは考えにくいものです。

西洋医学では、病気(症状)の原因が見つからない、もしくは治療しても治らないと「精神的なもの」として片付けられてしまうことが多いものです。

自律神経失調症は身体機能の乱れが原因であり、漢方治療が可能です。諦めずに治療をご検討下さい。


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