経験例28 不登校の中学2年生 女子 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

小学校5年生ぐらいから。いじめにあっていることもなく、学校が嫌いとか言うことでもない。原因は全く不明である。
症状は「朝起きられない・お風呂に入るとのぼせる・よく鼻血を出す・長距離を走るとすごくしんどい・生理前後は体調が悪くなる」などである。

弁証

・八綱弁証:気虚証で、熱証

・気血弁証:気虚証で、血虚証

・五臓弁証:気滞証および水滞証

・病理的産物弁証:

・病邪弁証:内傷七情

病名

この女子は「生理周期が短い・生理血が鮮紅色で多い・身体に微熱を感じる・冷たい飲み物を異常に好む・のぼせが強い」ことから、強い熱証であることがわかった。また、「イライラする・怒りっぽい・たまにヒステリックになる・緊張感が異常に強い」ことから肝に病位があることがわかった。これらのことから、この子の病名は肝欝火化証であると判断した。処方は肝欝火化証に対応するものを選んだ。たヾ、この子の熱症状は大変強いために、清熱剤(せいねつざい=興奮を鎮めていく薬剤)を別に少量合方することにした。

経過

しばらくは良かったり、悪かったりを繰り返していて、体調は安定しなかった。登校が出きたのは漢方薬を服用を始めてから、5ヶ月目に入ってからである。その後も、登校できていたが、9ヶ月目にまた、学校に行けなくなってしまった。ちょうど、この頃、ダイエットを試みていたことを考えると、ダイエットが自律神経に強い影響を与えたのではないかと思った。その翌月からは何とか学校に行けるようになったが、保健室登校であった。不登校が再度起こってから、2ヵ月後にはまた、普通に登校できるようになった。その後、しばらくは登校できたり、出来なかったりしていたが漢方薬服用開始後、ちょうど、1年で、問題なく、学校に行けるようになってきた。たヾ、生理前後にはまだ、体調が悪くなるが、学校に行けないという状態ではない。2年が経過する現在でも、生理前後の体調を改善するために、服用している。

考察

この子の場合は強い偏熱偏燥体質だったようである。精神的緊張によって、機能亢進を起こしてしまったが、特に黄体ホルモンの過剰な分泌を起こしてしまったと思われる。この黄体ホルモンの過剰な分泌がさらに機能を高めてしまって、起床時の不快感を引き出したと思われる。この子の場合、生理前後に出てくる不快な症状が消えたときが完治だと思っている。