経験例23 ヒステリックな54才 女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

ご主人からの相談であった。2年前から、ヒステリックになっていて、泣いたり、怒ったり、感情の起伏が激しい。ご主人が昔浮気をしていたとか、一緒に歩いていてもほかの女性に色目をつかっているとか言って怒る。こうなる以前は気がつくやさしい女だった。後日、奥様が来店され、たっぷりとお話をしていかれましたが、やはりヒステリックになっておられた。ご自分がヒステリックになっていることはちゃんと理解されていて、今までのご主人の暴力に対して堪忍袋の緒が切れたのだということでした。今は別居中である。2年程前に閉経した。

弁証

・八綱弁証:熱証・実証

・気血弁証:なし

・五臓弁証:肝病

・病理的産物弁証:なし

・病邪弁証:内傷七情

病名

実証の肝欝火化証。選薬は実証の肝欝火化証の薬方

経過

服用されてから、2ヶ月ほどは一進一退で推移していた。ご主人の話では、3ヶ月目から少し変わってきて、今は奥さんは家に戻ってきている。急に怒り出すことはなくなったとのことである。しかし、その翌月、元に戻ってしまったとご主人が駆け込んでこられた。奥様に何かストレスがかからなかったかとお聞きしたしたところ、「娘が柔道をしているのだが、大会で骨折してしまった。それを心配しているようだ。」とのことであった。心配のあまりの一時的な症状の悪化であるから、心配ないことを告げ、同方を続服してもらった。半年で治癒、廃薬。

考察

この方は典型的な血の道症によるヒステリック症状であった。体力が十分あって、精神的に緊張タイプの方に出やすい病態である。更年期や出産などの女性ホルモンのバランスを崩しやすい時期に、精神的にストレスを受けたときに発症しやすいようである。症状は激しく、ヒステリックで、精神病を思わせる言動を取るために、このタイプの方は精神病の治療をされるケースがあるように思える。