経験例22 統合失調症の疑いのある20代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

高校の受験勉強をしているときから、状態が悪くなってきた。強迫観念が強くなり、泣きながら勉強するようになった。相談を受けたときには、強迫観念が強く、包丁を見るとこれで人を刺すんではなかろうかとか、自分の悪口を言っているような気がするとか、外に出るときには火の始末をしたかどうかを何回も確かめてしまうために外で出れないないなどの症状のほかに、「人に会いたくない、強い偏頭痛、イライラ、ヒステリックになる、過食症,抑鬱感、腹がはる」などの症状が出ていた。当然、引きこもり状態だった。病院では統合失調症との診断は受けていないが,出してもらっているお薬は精神分裂症の薬が2種類、抗うつ剤が2種類、躁鬱病の薬が2種類その他抗パーキンソン氏病など16種類にも及んでいた。
本人の母親が薬の内容を知って、お医者さんに尋ねると「統合失調症以外にもこうした薬の使い方がある」と言葉を濁された。すでに3年ほど,こうしたお薬を服用中だと言っている。

弁証

・八綱弁証:熱証で虚実挟雑証

・気血弁証:強い気血虚証

・五臓弁証:肝病

・病理的産物弁証:気滞証

・病邪弁証:内傷七情(精神的ストレス)

病名

弁証から強い肝欝化火証である。ただ、生理前になると,緊張症(イライラ、過食)が出てくることから、女性ホルモンの関与していることがわかる。気血両虚で、女性ホルモンの影響の強い肝欝火化証である。

経過

この方は漢方薬を服用し始めてから、かなりの年数が経つ。まだ、完全とは言えない。道半ばである。あれやこれやと言いながら、薄皮をはぐように少しずつ体調が良くなってきている。外に出ることも、父母の仕事の手伝いもでき、最近では毎日友達と遊んでいるとのことである。イライラや過食は今は落ち着いてきている。ただ、本人はまだ一杯辛い症状が出ていると言っている。母親の言では以前からすると見違えるほど良くなってきているのがわかるとのことである。
体調は完璧といえないが、日常的には困ることなく生活している。また、社会とのコンタクトも良く取れている。治療にすごく長い時間がかかっているが、漢方治療を開始する前は、精神科に入院するほど悪かったことを思えば仕方がないのかも知れない。

考察

この方が統合失調症と言う病気であるかどうか定かではない。ただ,もらっている薬を見るとその可能性は高いと言えよう。この方の場合、完全に治ったわけではないから、今後とも追跡していくことは必要である。