経験例20 たくさんの精神症状を訴える30代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

「父との関係が希薄であったことが原因ではないかと思う」とのことであった。「疲労倦怠感・冷え性・胸が痛む・生理痛」以外の症状は精神神経症状である。「イライラする・不安感が強い・焦燥(そわそわ)感が強い・怒りっぽい・ヒステリックになる・対人恐怖」など。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚実挟雑証で、強い熱証 全体的には陽証

・気血弁証:気血両虚証

・五臓弁証:

・病理的産物弁証:気滞証 水滞証

・病邪弁証:内傷七情

病名

抑うつ感が強い・怒りが強い・ヒステリックになっていると言う情緒の乱れが強く、生理痛や胸が痛むなどの気滞の症候があることからこの方は「肝」に病位のある肝気欝結証が基盤となっていることがわかる。熱証が強いことから、肝欝火化証であると判断した。選薬は肝欝火化証の薬方。

経過

2ヶ月を過ぎる頃、家族の方から明らかに変わってきているとご連絡があった。4ヶ月目の漢方薬をお求めになるときのご連絡ではご自分から、「体調は良くなってきている」とお話をされた。半年目のご連絡では「暑さのために体調が崩れかけているが不安感や対人恐怖感などは減ってきている。しかし、まだ、感情が強く乱れることがある。」とのことであった。1年後には「研修などがあって緊張感が続いた。疲労感は強かったが寝込むほどではなかった。」とご報告いただいた。2年目に入って「体調はまずまずかな」と仰った。2年半を過ぎた現在でも漢方治療を続けておられる。生理前になると体調が若干乱れるからである。

考察

この方の体調の強い乱れは女性ホルモンを乱したためである。女性ホルモンの乱れは精神疾患にも似た症状を引き出してしまうことは多いようである。この方のように強い精神疾患を表す女性で、女性ホルモンの乱れが顕著に出ていれば女性ホルモンの乱れを改善していくようにしていけば良いのです。