経験例19 食事が摂れない48才 女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

平成15年の5月、病院の検査結果で、閉塞性心肥大および腎臓の機能低下といわれて以来、眠れなくなった。同時に食欲も低下して食べられなくなってしまった。半年で、体重が8キロも減ってしまった。不安感や抑うつ感が強く、生きていることが辛い。

弁証

・八綱弁証:熱証で、虚証

・気血弁証:気虚証、血虚証

・五臓弁証:肝病

・病理的産物弁証:気滞

・病邪弁証:内傷七情(精神的ストレス)

病名

この方の食欲不振は食べたいと思って食べるが、すぐに胃が強く張ってしまって、食べ物が胃に入っていかないタイプであった。明らかに胃筋の収縮が起こっていた。この状態を気滞(平滑筋の収縮・痙攣)と言う。気滞があって、不安感や抑うつ感などの情緒の乱れが同時に出ている場合を肝気鬱結証と言う。この方は明らかに肝気鬱結証である。肝気鬱結証は精神的緊張によって間脳が興奮を起してしまうことが原因で起こる。気の発散が上手ではない方に起こり易い病態である。年齢的には閉経に近いことから、更年期障害が疑われた。

経過

1ヶ月の服用で、食べることには支障がなくなってきた。2ヶ月目に入ってから、死にたいと言うほどの強い抑うつ感や不安感はかなり鎮まってきている。まだ、完全ではないが、一頃のことを考えると、生きていることがとても楽になっている。3ヶ月もあれば通常の生活の強い不快感は消えていくと考えている。

考察

拒食症は2パターンあるようです。一つのパターンは胃の充血によって胃酸が過剰に分泌され、食欲がなくなるタイプです。二つめのパターンは今回の経験例にもあるように胃の筋肉が収縮・痙攣して、小さくなり、胃に食べものがおさまらないタイプです。
前者のタイプの方は食べたくないと言う状態が優先します。便も軟便~下痢が多いようです。後者の方は食べてみようかなと思うけれども、胃に入っていかないタイプです。便が細いあるいは便秘がちまたは兎便が多いようです。