経験例18 拒食症 30代 女性 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

数年前から時々食事が取れなくなっていたが、だんだん悪化して最近ではほとんど食事が取れなくなってしまった。その他の症状としてちょっとしたことで微熱が出てしまう。ご本人に訊ねても特に原因となるものに思いつくものはない。この方の食事が取れないのは「食事を取ろうとするのだが、量が入らない」タイプである。胃が収縮していて胃がのびないと判断される。

弁証

・八綱弁証:熱証で、虚証

・気血弁証:気虚証

・五臓弁証:「イライラ、腹立たしい、抑うつ感がある」などの情緒の乱れと、胃の収縮が強いことより気滞があることにより、肝に病位があることが理解できる。症状が胃に集まっていることから、胃にその影響が及んでいると判断される。

・病理的産物弁証:気滞証

・病邪弁証:肝に病があって、その影響が胃に及んでいることから、病邪は内傷七情(精神的ストレス)であることがわかる。

病名

この方の症状からは精神的ストレスが原因であることがわかるが、ご本人はほとんどそれを認識されてはおられませんでした。おそらく、小さいときから精神的に過敏な方だったために、習い性になり、精神的ストレスがかかっても特に認識されなかったのだと思われる。病名は肝気鬱結証を基盤とした肝胃不和証と判断する。

経過

1ヶ月の服用で少し改善。食べられる日が出てきたが、すぐに悪くなる。その繰り返しである。詳しく聞くと良い日にはお腹一杯に食べてしまう傾向があようだ。その日の翌日は必ずと言ってよいほど、食事がはいらなくなる。2ヶ月を過ぎる頃も同じような状態であった。食事の節制をお願いしてもどうしても抑制できない。3ヶ月が過ぎる頃も同じような状態であった。このところ、ずっとこの繰り返しのようだ。4ヶ月過ぎた今も同じであるが、食べられなくなっても以前よりはだいぶ食べられる量は増えてきている。また、食べられない期間は少しずつ短くなってきていると思うと仰っている。

考察

この方の病態は典型的な肝胃不和証である。食事を節制されると早い段階で治るのであろうが女性ホルモンの乱れから、不安定な感情の乱れが出てきて、過食を引き起こしてしまうようだ。肝胃不和証の漢方薬はこうした感情の乱れまで改善していくので、そのうちに制御できるようになると思う。