経験例07 倦怠疲労感と抑うつ感の強い男性 40代 【 自律神経失調症の治し方 】

発病の経過と症状

会社に入社してから40代の半ばまでは人の先頭に立ってバリバリと仕事をしていたが、ある時から、仕事が億劫になると共に、頭が働かなくなり、仕事に差し支えるようになった。
会議や行事があるときには前日から不安になり、抑うつ感がでてくる。会議などで緊張することがあると頭がボーっとして頭痛がしてくる。
精神科ではウツと診断されて抗ウツ剤と精神安定剤を貰って飲んでいる。病院で治療を始めてすでに2年が経過しているが症状は一向に軽減してこない。退職を考えている。

弁証

・八綱弁証:裏証で、虚証である。寒熱証の弁証では平証であった。全体的には陽証である。

・気血弁証:気の病変では気虚証である。陽虚および気滞の症候は見当たらない。血の病証はない。

・五臓弁証:精神的緊張状態で頭痛が強く出てくるなど、緊張状態で症状が悪化することから肝に病位があると判断された

・病理的産物弁証:気滞証、水滞証および血滞証はいずれも認められなかった。

・病邪弁証:精神的緊張を持続したことが原因と思われた。

病名

肝の気虚証と判断した。差し上げた処方は肝気虚証の薬方。

経過

半年ほどは改善らしい改善は起こってこなかったが、肝気虚証に間違いないと確信をしていたために辛抱していただいた。改善が起こり始めてくると急速に良くなってきた。

考察

この方の不快な症状を分析すると、日中、立ち上がってこなければならない交感神経が立ち上がってこないことだと思われる。精神的緊張を持続し過ぎたために交感神経を立ち上げてくれる体力がなくなったのだと思われた。まさに肝気虚証である。