こんにちは。
自律神経失調症専門のせいゆう薬局です。
漢方薬専門店ですので、漢方薬だけで治療をしています。
今回のひとりごとは
ストレートネックで自律神経は乱れる??
です。
ストレートネックとは骨格の乱れです。骨や筋肉の付き方の異常と言っても良いです。
(このページではストレートネックを含む形で「骨格の乱れ」という言葉と使います。)
厳密には骨格は、その名の通り骨だけを指しますが筋肉や筋の付き方まで含めてこのひとりごとでは骨格と表現します。わかりやすい表現で言えば、姿勢や体勢が悪いということ。
つまりこのページでは、
「姿勢が悪いと自律神経は乱れる??」 という内容の解説を行っていきます。
もちろん見た目の姿勢だけではなく、骨の正常な位置関係が崩れていることも骨格の乱れと言えます。
ご自身で自律神経失調症を疑ったり、病院などで自律神経失調症と言われたりとした方で、整体や整骨院などに行かれて「ストレートネック(もしくは骨格の乱れ)」から自律神経が乱れていると言われた方はいらっしゃるかと思います。
そこで今回は自律神経失調症専門の当店が考える「骨格(ストレートネック)」と「自律神経失調症」の関係をひとりごととして呟いていきたいと思います。
結論
結論からお話すると
ストレートネック(もしくは骨格の乱れ)から自律神経失調症になることはありません。

(骨格の乱れの一種)
いろいろなところを敵に回してしまいそうですが、当店ではこれまでの治療経験上、実際にそうだと考えています。
これを言ってしまうと自律神経失調症を治すのに、骨格を整える必要はないとなるのです。
でも、世間には自律神経失調症を治せるという治療院はたくさんありますよね。
このあたりは意見の食い違いと言いますか、自律神経失調症をどういうものだと考えているのか定義が違っているのだと思っています。
当店では、専門店として営業を始めた35年ほど前から自律神経失調症はこのような疾患であると考えています。(2025年現在)
- ・血流低下症状が主として出てくること
- ・病院の検査ではどこにも異常が見つからないこと
- ・良かったり、悪かったりを繰り返しながら長期にわたって不調が出ること
(最終的には悪い状態が続くようになります。)
以上の3つに当てはまるような時、その方は自律神経失調症であると言って良いと考えています。
自律神経とは、心臓や血管をコントロールすることで血流を維持していくというのが主とした役割になっています。
したがって、自律神経が乱れる(失調する)と当然血流は低下してしまいます。
そしてこの中の「血流低下症状が主となる」というのがポイントとなります。
骨格の乱れ(ストレートネック)から出てくる不調とは
それでは、骨格の乱れから出てくる不調とは、自律神経失調症ではないとすればなんなのでしょうか?
骨格の乱れから不調が出てくるとすれば、骨格(骨や筋肉)が神経や血管を物理的に圧迫することから出てくる不調です。
したがって、神経痛であったり、血流低下症状などが骨格の乱れから出てくることはあります。
そして、自律神経失調症では血流の低下症状が主となりますし、神経痛や痺れのような症状が出てくることもあります。
この「血流低下症状が出てくる=自律神経失調症だ」と考えてしまっていることで、骨格が乱れると自律神経が乱れると勘違いしてしまっている方(施術者)が多いのかと思います。

しかし、骨格の乱れから出てくる血流低下症状には自律神経は関与しておらず、あくまでも骨格の物理的な圧迫から引き出されます。
出てきている血流低下症状は、自律神経失調症ではなく、単なる骨格の乱れからくる血流低下症状です。
そしてもちろん、こうした骨格の乱れからくる血流低下症状は、骨格を整えることで解消されていきます。
血流が良くなることを自律神経失調症が治ると表現する方もいるのでしょうが、実際は骨格が整ったことで圧迫されていた血管が開放され、血流が良くなっただけです。
骨格の乱れと自律神経失調症の違いは?
それでは、骨格の乱れからくる不調と自律神経失調症の違いは何なのでしょうか?
どうやって見分けていけば良いのでしょうか?
まずは不調の出方からある程度判断が可能です。
自律神経失調症の方では、血流低下症状が出てくるタイミングは人それぞれです。
午前中に多く出る、夕方から多い、緊張時に出てくる、食後に出てくるなど様々です。
症状も強かったり弱かったり、出たり出なかったりとします。
ただし、自律神経失調症も極度に進行していくと24時間、終始症状が出続けることもあります。
一方、骨格の乱れから出てくる不調は、あくまでも血管(や神経)が圧迫されている最中に出てきます。
特定の姿勢・体勢・動作を行った時に症状が出る。
もしくは症状は24時間ずっと出続ける。
のどちらかになります。
骨格(ストレートネック)は1日の中で大きく変動することはありません。
ある時間帯は骨格が乱れていて強い不調が出るが、ある時間になると急に骨格が整い症状が出なくなるというような症状の出方にはなりません。
骨格が変動するとすれば、長い時間(数ヶ月など)をかけてゆっくりと変わっていくか
整体や整骨などの外部からの施術を受けることで比較的短期間で変動させていくかです。
したがって、日によって症状が出たり出なかったりとしませんし、症状の強弱が変わることもあまりありません。
もちろん、1日の中でも時間帯によって症状が出たり出なかったり、症状の強弱が変わったりもしません。
症状に短期的な変動が見られる場合には、自律神経失調症である。
症状が固定化されていて、終始同じような不調が同じように出てくるか、特定の姿勢・体勢・動作をした時にだけ出てくる場合は、骨格系の乱れからくる症状と考えて良いのかと思っています。
(ただし、自律神経失調症が長期化した場合、症状が固定化されることはあります。ただ初期には症状に変動が見られていたはずです。)
漢方薬は服用しても骨格を変えることは出来ません。
したがって、骨格の乱れからくる血流の低下症状は漢方治療では治せません。
多少強制的に血流を良くする処方を使うことで症状を緩和することは出来ると思いますが、根本的な解決にはなっていないと考えています。
もうひとつ分かりやすい違いも付け加えておきます。
骨格の乱れからくる不調は、基本的に血流の低下症状だけになります。
もしくは神経圧迫による症状も出てきます。
ただし、精神症状が出てくることはほぼないと言えます。

余程、頭部(脳)での血流が低下してしまっている際には多少の精神過敏症状が出ることはあるかもしれませんが
脳の興奮が骨格から起こることはないので、寝付きが悪い、イライラ、緊張感が高まる、抑うつ感、憂うつ感などの精神症状が出ることはありません。
こうした精神症状が出ている場合には、自律神経失調症だと考えて良いと考えています。
また、胃腸症状が出てくることもありません。
ムカムカ、吐き気、食欲不振、呑酸、口が苦い、胃もたれ、胃が張る、お腹が張る、ゲップ、おならなど。
血流低下症状だけが出てきている場合には、骨格の乱れが原因であると疑っても良いと思いますが
それ以外の不調が一緒に出てきている場合は、自律神経失調症だと考えて良いです。
また、前者の場合(血流低下症状だけ)でも自律神経失調症である可能性は十分にあります。
整体・整骨・鍼灸などで自律神経失調症は治せるのか?
自律神経失調症は整体や整骨、鍼灸など外部からの施術で治せるのか??
多くの敵を作ってしまいそうなので大きな声では言えませんが、おそらく無理です。
外部からの施術では、骨格や筋肉などの体の表面上にしかアプローチが出来ません。
当店では自律神経失調症は身体機能(脳を含めた内臓機能)の異常から引き出されるものと考えています。
前提として、この定義が異なっている場合は仕方がありませんが。
ただ、整体や整骨、鍼灸には骨格・筋肉にアプローチすることで血流を良くする効果は間違いなくあります。

おそらく血流を良く出来ているから自律神経が整っていると考えてしまうのかと思いますが、
実際は自律神経が整っている訳ではなく、ただ一時的に血流が良くなっているだけです。
多くの場合は、緊張(膨張)している筋肉が施術によって緩むことで圧迫されている血管が開放され、血流が良くなっていると考えられます。
血流を良くするという良い効果があることは間違いないのですが、自律神経を良くしている訳ではないと考えています。
自律神経を治せるとおっしゃっている治療院さんには申し訳ないです。
最後に
病院などでも不調の原因は見つからず、最終的にストレートネック(骨格の乱れ)が原因と診断される方など増えてきています。

不調の原因を探してみても該当するような異常は見つからず、近年流行りのスマホのやり過ぎのせいにするパターンが多いです。
ただ、スマホを極限まで減らしても不調は治らないことが多いですし、ストレートネックを治療しても不調は治らないことが多いです。
実際、当店にもストレートネックと診断されたが不調は治らないという相談が多いです。
不調(血流低下症状)の原因を「骨格の乱れ」と疑ってみることは全く問題ないと考えています。
もしストレートネックが原因と考えるとすれば、まずはその治療に取り組んでみましょう。
骨格の乱れはそう短期間では良く出来ませんが、治療を続けることで徐々に骨格は正していけると考えています。
その上で、不調が改善されていっているのかはしっかり確認しておきましょう。
改善されていったとすれば、それは良いことです。骨格の乱れ(ストレートネック)が血流を低下させていたのでしょう。
もし、なかなか改善が進まないとすれば、その時には骨格は血流低下に大きな影響を与えていないのではないかと考えてみて下さい。
その時には血流低下の原因は自律神経失調症ではないかと考えてみるのも良いです。
ただし、整体や整骨、鍼灸などの外部施術では症状の軽減は出来ても自律神経失調症自体の治療は難しいと考えています。
自律神経失調症の治療には、漢方治療が最適と考えています。
漢方治療を検討してみて下さい。
今回のひとりごとは以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おまけ
当店では整体や整骨、鍼灸などの外部施術を否定している訳ではありません。

前述のように血流を良くしていく効果があることは間違いないと考えています。
(当店でも以前に鍼灸治療を行っていたこともあります。)
ただ、自律神経失調症の方への血流改善効果は限定的で、効果が長続きしません。
したがって、不調を一時的に和らげる目的でこうした外部施術を取り入れることは良いと考えています。
どうしても不調が強いと生活が苦しくなってきます。
一時的にでも良いので楽に生活出来ることのメリットは大きいと思っています。
決して意味のないことではないので、整体・整骨、鍼灸などは上手に取り入れてみて下さい。
もちろん骨格の乱れからくる不調に対しては、とても有効な治療手段です。
わたしも骨格の不調時には利用させていただいています。
